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被災地での命を守る建築技術。能登地震で注目された『インスタントハウス』の防災活用と未来

災害の多い日本では、被災直後に「どこで暮らすか」が命を左右します。能登半島地震で注目された「インスタントハウス」は、建築確認を要さず、わずか数時間で設営できる新しい仮設住空間です。被災者が“暮らしを取り戻すまでの時間”を短縮し、自治体や企業の防災力を大きく高める技術として導入が広がっています。

目次

インスタントハウスとは?被災即時に快適な空間を提供する“新しい選択肢”

インスタントハウスは、名古屋工業大学発の研究から生まれた新しい構築物です。テントシートを空気で膨らませ、内側から断熱材に使用されている硬質発泡ウレタンを吹き付けることで、わずか数時間で完成します。小型の空調機を取付するだけで外気より夏−20℃、冬+20℃の室温を実現する断熱性能、震度6強の地震でも崩壊しない耐震性能、風速80m/sに耐える耐風性、積雪60cmまで対応できる耐雪構造を備えています。
こうした特徴により、インスタントハウスは被災即時に快適な住空間を提供することができるため、避難所の環境を改善し、避難者・支援者の健康と尊厳を守る新しい選択肢として全国の自治体からも注目されています。

【おすすめポイント早見表】

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特徴内容メリット
設営時間約6時間(1棟)災害直後の迅速な避難所設営が可能
耐久性能震度6強・風速80m/s対応長期使用でも安心
コスト設置・解体が簡単な構造体で、高い断熱性能固定資産税不要、光熱費半減
株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

“数時間で住まいをつくる”という発想は、建築の常識を覆すものでした。災害現場で最も必要なのはスピードです。私たちは“命を守る時間”を短縮する建築を追求しています。

名古屋工業大学とLIFULLが生んだ新しい住環境技術

この技術は、名古屋工業大学の北川啓介教授と株式会社LIFULLによる共同研究から誕生しました。両者は「どんな場所でも、誰もが安心して暮らせる空間をつくる」という理念のもと、産学連携でインスタントハウスを開発。2019年にはベンチャー企業「LIFULL ArchiTech」として事業化されました。
現在は、災害支援のみならず観光・教育・防災倉庫など、全国の自治体で導入が進んでいます。

引用:災害時の被災者住宅支援の取り組みについて

株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

大学での研究成果を現場の課題解決に結びつけるのが私たちの使命です。能登など、実際の被災地で使われて初めて“技術が人を守る”ことを実感しました。

風速80m/s・震度6強にも耐える耐久性能

引用:news zero:#197 子供の居場所にも…被災地のインスタントハウス,日本テレビ,2024.01.29

従来の仮設住宅は木造やスチール製が多く、強風や積雪に弱いという課題がありました。
インスタントハウスはドーム型構造が風を受け流し、風洞実験でも風速80m/sの強風に耐える性能を確認済みです。
また、外壁と断熱材を一体化させることで構造強度を高め、地震時の倒壊リスクを最小化。豪雪地帯向けには壁厚2倍の耐雪仕様も用意されています。

【性能比較表】

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項目インスタントハウス一般仮設住宅
耐震性能震度6強対応震度5強まで
耐風性能風速80m/s約40〜50m/s
設営時間約6時間2週間〜1ヶ月程度
耐雪性能60cm(耐雪仕様)約30cm
株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

構造計算だけでなく、実際の風洞実験や耐震試験を重ねてきました。実験を繰り返して証明された数字があるからこそ、“災害に強い”と自信をもって言うことができます。

建築物扱いにならない「どこでも設営可能」な仕組み

インスタントハウスは土地に定着せず移動可能なため、建築基準法上の“建築物”に該当しません。これにより、都市計画区域や用途地域に関係なく設営が可能です。
※ただし、この判断は自治体など行政の見解によって異なる場合があります。
さらに、固定資産税や不動産取得税も不要で、行政や企業にとって導入しやすい仕組みになっています。

【主なメリット一覧】

  • 建築確認申請が不要
  • 固定資産税・都市計画税が不要
  • 災害時の一時使用にも柔軟に対応可能
  • 撤去・移動が容易
株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

法的制約をクリアする“非建築物”という設計思想は、災害時の迅速な意思決定を可能にしました。

被災地支援での実績|能登・石川で活躍するインスタントハウス

引用:news zero:#197 子供の居場所にも…被災地のインスタントハウス,日本テレビ,2024.01.29

能登半島地震では、名古屋工業大学基金等により約280棟のインスタントハウスが届けられ、指定避難所へ行けない方や支援を必要とする方々の避難スペース、感染症隔離の医務室、応急物資の管理や行政職員・運営チームの宿泊を含む支援拠点、周囲の目を気にせず子どもがほっとできる遊び場、ペット同伴避難など多様な用途で多くの方々に活用されました。

【導入地域リスト】

  • 石川県能登町:避難所として活用
  • トルコシリア大地震:被災地に簡易住宅として3棟を設置
株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

能登町では地震発生から48時間以内に設営が完了しました。被災者が暖をとり、安心して眠れる空間を届けられたことが、私たちの誇りです。

なぜインスタントハウスが災害対応に最適なのか

インスタントハウスの強みは「迅速性・快適性・汎用性」の3つに集約されます。

【3つの強み】

  1. 迅速性:6時間で設営完了
  2. 快適性:夏−20℃・冬+20℃の安定した室温
  3. 汎用性:避難所・倉庫・宿泊施設など多用途展開

断熱ウレタンによる保温効果と重力換気による自然換気が快適な居住環境を保ち、外気温との差を最大20℃に保てます。
防炎・防水・耐雪性能も備えており、海岸沿いや豪雪地帯でも活躍します。

株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

“防災のための建築”ではなく、“人が暮らせる建築”を追求しています。快適さがあるからこそ、長期避難でも心の健康が守られるのです。

防災から観光へ。インスタントハウスが広げる新しい暮らし方

災害対応だけでなく、グランピングや宿泊施設としての導入も増えています。平常時は宿泊用に、非常時は避難拠点として使える「防災×観光」の両立モデルです。

【活用比較】

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シーン活用方法メリット
災害時避難所・備蓄倉庫即時展開・防寒性に優れる
平常時宿泊・イベント施設非日常空間を演出・資産効率化
株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

“防災は特別なことではなく、日常の中にあるべき”という考え方が広がっています。観光施設がそのまま避難所になる。これが、これからの社会の形です。

まとめ|被災地支援と地域再生をつなぐ建築テクノロジー

インスタントハウスは、能登をはじめ全国の被災地で「命を守る建築」としての実績を積み重ねています。
それは単なる仮設住宅ではなく、「人の暮らしを取り戻すための空間」。
行政・企業・地域住民が連携することで、防災と観光、平時と非常時をつなぐ新しい社会インフラとなるでしょう。

【チェックリスト】

  • 被災地での導入実績(能登・トルコ・シリア大地震)
  • 建築確認不要・短時間設営で迅速導入
  • 防災×観光の両立が可能
株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

“帰りたい景色に住もう”という言葉を私たちは大切にしています。災害のあとにも、再び暮らしを取り戻せる社会へ——それがインスタントハウスの使命です。

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