MENU

インスタントハウスの構造と性能を徹底解説|素材・断熱・安全性など

「どこでも、すぐに、心地よく住める」

そんな理想を形にしたのがインスタントハウスです。数時間で設営でき、建築物扱いにならない※新しい住まい方として注目されています。本記事では、素材・構造・性能といった技術面を、開発者の視点から詳しく紹介します。
※ただし、この判断は自治体など行政の見解によって異なる場合があります。

  • 主な特徴
  • わずか6時間で完成する高断熱ドーム構造
  • 建築確認不要、どこでも設営可能
  • 防炎・防汚素材で長期利用も安心
目次

インスタントハウスとは?住宅の常識を変える新しい構造

インスタントハウスは、名古屋工業大学との産学連携から誕生した、空気を利用して形成するドーム型の住空間です。設計から設営までを極限まで簡略化しながらも、快適性と安全性を両立させています。

名古屋工業大学との共同研究から生まれた建築テック

インスタントハウスは、2011年3月東日本大震災での被災地支援をきっかけにした名古屋工業大学大学院の北川啓介教授の研究をもとに、LIFULLと名古屋工業大学大学院による共同研究にて開発した新しい構築物です。テント生地を膨らませ、その内側にウレタンフォームを吹き付けることで、断熱性・耐風性・耐震性を持つ構造を実現しています。この手法により、従来の建築では不可能だった「数時間で完成する住宅」を実現しました。

“空気で膨らむ”新発想の構造物とは

インスタントハウスの最大の特徴は、空気を使って膨らませる施工方式です。テント生地を固定し、内部から空気でドームを膨張させると、球状のフレームが自立します。その後、内側から硬質ウレタンを吹き付けて固定化。これにより、わずか数時間で強固な断熱ドームが完成します。構造体そのものが壁・断熱材・防水層を兼ねるため、無駄のない軽量建築が可能です。

建築物ではなく「どこでも設営できる住まい」という発想

インスタントハウスは土地に定着していないため非建築物扱い※となり、建築物のような制約がなく、さまざまな土地に設置できます。したがって、都市計画区域や用途地域を問わず、ほぼ全国どこにでも設営が可能です。これにより、自然豊かな土地や災害現場など、通常の建築が難しい環境にも対応できます。
※ただし、この判断は自治体など行政の見解によって異なる場合があります。

株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

「私たちは、『住まい』の常識を革新するために、インスタントハウスという選択肢を提案しています。従来の建築が抱えてきた課題―工期・コスト・立地の制限―を、空気+ウレタンというシンプルかつ高度な技術でクリアし、快適性・安全性・自由度を同時に実現しました。インスタントハウスが、皆さんの夢や事業の実現、暮らし、そして社会課題解決の場に、新たな価値をもたらすことを願っています。

素材と構造:高断熱・高耐久を両立する秘密

インスタントハウスは、軽量ながらも耐候性・断熱性・安全性を兼ね備えた素材で構成されています。すべては「住む人の安心」と「環境への適応」を両立するための設計です。

インスタントハウス(ベーシックタイプの場合) 素材・構造の詳細一覧

スクロールできます
部位使用素材主な性能・特徴メリットメンテナンス性用途・補足情報
外壁防炎ポリエステル生地(国産)+フッ素系防汚コート・防炎認定済み(消防法基準適合)
・UVカット率99%以上
・防水・防汚・耐候性に優れる
・屋外でも色あせしにくく、美観を長期維持
・紫外線・雨・雪にも強い
・水洗いで汚れを落とせる
・防汚加工により埃やコケが付きにくい
・標準色5色+特注17色対応
・自浄作用加工で外壁を綺麗に保つオプションあり
内壁硬質ポリウレタンフォーム(吹付成型)・断熱性能:外気温差 ±20℃を実現
・ホルムアルデヒド未使用
・高気密構造で結露しにくい
・夏は涼しく冬は暖かい室内を実現
・快適な温度を長時間維持可能
・メンテナンス不要
・カビ・結露が発生しにくい
・断熱材と構造体を兼ねるため軽量
・吹付後すぐに硬化し短時間で完成
ポリスチレンフォーム(高密度タイプ)・断熱・防湿・防音効果が高い
・F★★★★(ホルムアルデヒド発散等級)認定
・衝撃吸収性能あり
・地面からの冷気や湿気を遮断
・室内の音や振動を抑制
・清掃が容易で長期劣化しにくい・ウッドデッキ上や土間設置にも対応
・軽量で運搬・移設が容易
標準:透明ビニール
オプション:ポリカーボネート/網戸窓
・採光・通風・防虫機能
・オプションで強化透明素材に変更可
・外の景色を明るく見せる
・通気性アップで夏も快適
・交換・追加が容易
・結露が発生しにくい構造
・最大5か所まで設置可(標準2か所)
標準:ファスナー式
オプション:木製・アルミ・ガラス製扉
・オプション扉の追加により、対候性・デザイン性・防犯性向上が可能・使用環境やデザインに応じて選択可・開閉部の部品交換のみで対応可・鍵付きでセキュリティを確保
・庇(ひさし)オプションで雨天時も快適
屋根形状一体型ドーム構造(45°勾配)・積雪40cm対応(耐雪仕様は60cm)
・風速80m/sにも耐える構造
・雪が滑り落ちやすく積雪対策が容易・清掃・除雪が簡単・耐風・耐震・耐雪性能・デザイン性を全て満たす独自設計

【補足】

  • 高い断熱性能により、一般的なテントとは異なる「居住性の高い空間」を実現しています。
  • すべての主要素材は国産かつ壁・天井のポリウレタンは、ホルムアルデヒドを発散しない材料を採用。床材はF☆☆☆☆ 認定品でシックハウス対策も万全です。
  • オプションの自浄作用加工を施したテントは1年間屋外放置しても美観を維持(メーカー実験データより)。
  • 風速80m/s、震度6強、積雪40cmに対応する耐久試験済み。

外壁素材|国産ポリエステル生地+防炎・防汚・UVカット性能

外壁には国産の防炎ポリエステル生地を採用。さらにフッ素系防汚処理とUVカット加工が施され、長期使用でも色あせや汚れの付着を抑えます。さらにオプションでテント生地に自浄作用のある加工を施すことで、屋外に1年間設置しても美しさを維持でき、メンテナンスの手間を軽減します。防炎認定素材のため、宿泊施設や公共用途にも安心して使用できます。

内壁素材|硬質ポリウレタンフォームによる断熱一体構造

内壁は、硬質ポリウレタンフォームを現場で吹き付けて形成します。これにより、壁そのものが断熱層として機能し、熱損失を最小限に抑制。外気温が高くても室内は蓄熱せず、冬は暖かい環境を保ちます。また、ポリウレタンはホルムアルデヒドを含まない安全素材で、シックハウスの心配もありません。

床構造|ポリスチレンフォームで防湿・防音性を確保

床材にはポリスチレンフォームを採用し、地面からの湿気を遮断します。さらに、柔らかい素材特性により衝撃を吸収し、防音効果も発揮。内部に振動や足音が伝わりにくく、快適な生活環境を維持します。地面がコンクリートでもウッドデッキでも設置が可能で、軽量な構造ながら強度と安定性を両立しています。

“膨らませて吹き付ける”3ステップ工法

  1. テント生地を地面に固定して空気で膨らませる
  2. 内側から硬質ウレタンフォームを吹き付けて一体化
  3. 固定・仕上げを行い、わずか数時間で完成

このシンプルな3工程で、工期を圧倒的に短縮。従来の建築のような型枠や鉄骨を必要とせず、環境負荷を抑えながら高断熱空間を短時間で完成させます。

株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

主要な素材はすべて国産品質にこだわり、断熱・耐久・安全性を検証しています。快適な住空間を実現し、災害時の避難空間や一時拠点としても安心して利用できる性能を追求しました。

快適な室内環境を生み出す断熱と換気システム

一年を通じて快適な温度を保てるのは、断熱性能と重力換気システムの相乗効果によるものです。エアコン効率が高く、省エネにも貢献します。

夏−20℃・冬+20℃を実現する断熱性能

外気温との差が最大で夏は−20℃、冬は+20℃という高い断熱効果を発揮します。内部の硬質ウレタン層が外気を遮断し、蓄熱を防ぐためです。夏場は直射日光を受けても内部温度が上がりにくく、冬場はヒーターなどの熱源で効率的に暖まります。この性能により、冷暖房コストの大幅削減も期待できます。

重力換気システムが常時新鮮な空気を循環

ドーム上部と下部に設けられた通気口を利用し、温度差による自然な空気の流れを作る重力換気システムを採用しています。これにより、常に新鮮な空気が循環し、CO₂や湿気がこもりにくい設計です。電力を使わずに換気できるため、エネルギー効率にも優れています。

カビ・結露を防ぐメンテナンスフリー構造

床・壁・天井が断熱材そのもので構成されているため、結露が発生しにくく、カビやダニの発生を防ぎます。外気の湿気を遮断しながら、重力換気で内部の湿度を一定に保つことで、メンテナンスフリーの快適空間を実現。長期使用でも健康的な住環境を維持します。

株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

夏でも冬でも快適な空間を維持できる点は、他の仮設住宅やテントにはない特徴です。

扉と窓の仕様:安全性と快適性の両立

扉や窓は防犯性・通気性・デザイン性を兼ね備えています。多様なオプションが用意され、用途や設置環境に合わせてカスタマイズ可能です。

インスタントハウス 扉・窓の種類と詳細比較表

スクロールできます
タイプ素材・構造主な特徴防犯・安全性メンテナンス性おすすめ用途補足情報
木製扉国産ヒノキ・スギ材などを使用した木製パネル構造・温かみのある外観でデザイン性が高い
・断熱性があり冬季でも快適
・表面に防腐・防水処理を施している
・ファスナー+鍵併用で安全性を向上・木扉は木材保護塗料の塗布により耐候性強化可能、扉のみの交換対応可グランピング施設・宿泊施設・展示ブース・雨天時も雨水が入りにくい“巻き込み構造”を採用
アルミ扉アルミパネル+木枠ステップ付き構造・防犯性・耐候性に優れ、屋外常設にも対応
・軽量で開閉がスムーズ
・耐塩害仕様も選択可能
・鍵付き構造で防犯性能が高い
・テント生地巻き込みにより隙間からの浸水を防止
・錆びにくく、ほぼメンテナンス不要店舗・倉庫・長期設置型施設・パージ型(分割設置型)にも装着可能
ガラス扉強化ガラス+アルミフレーム構造・高い採光性で開放感を演出
・断熱性能も維持しつつデザイン性を重視
・屋内外を視覚的につなぐ透明デザイン
・強化ガラスにより割れにくい構造
・耐風・耐圧性能あり
・汚れがつきにくく清掃が容易ショールーム・イベントブース・モデルルーム・日中の自然光を最大限取り入れたい用途に最適
網戸窓(標準2か所/最大5か所)二重構造(外側:テント生地/内側:網戸)・通気性抜群で虫の侵入を防止
・夏季利用や多湿環境に最適
・開閉はファスナー式で簡単
・外部からの侵入を防ぐファスナー+留め具構造・交換・増設が容易(1枚単位で注文可)夏季キャンプ・屋外施設・休憩スペース・透明ビニール窓→ポリカーボネート窓への変更も可能(クリア度UP)

【補足】

  • 標準仕様では入口1か所(ファスナー開閉式)+窓2か所が装備されています。
  • オプションとして庇(ひさし)や追加窓(最大5か所)も設置可能。
  • いずれの扉も、「テント生地の巻き込み構造」により雨天時の浸水を防止。
株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

デザインだけでなく、利用者の「安心感」を重視しています。特にアルミ扉は防犯性を強化しており、屋外での長期利用にも最適です。

まとめ:構造の革新が生む“どこでも暮らせる未来”

インスタントハウスは、軽量で強く、快適な新時代の住環境です。素材と構造へのこだわりが、どんな場所でも“暮らせる”未来を実現します。

目次