トレーラーハウス宿泊事業の収益性|営業利益率・稼働率・客室単価の目安

トレーラーハウスを使った宿泊事業に興味はあるけれど、「実際どのくらい儲かるの?」という点が気になっている方は多いはずです。トレーラーハウスの収益性を見極めるうえで欠かせないのが、稼働率・客室単価・営業利益率という3つの経営指標です。

トレーラーハウスは初期投資を比較的抑えて始められ、車両扱いによる税務上の特徴もあることから、宿泊事業の選択肢として注目されています。ただし「なんとなく儲かりそう」という感覚だけで始めると、想定外の費用や低稼働で計画が狂いかねません。数値の目安を押さえておけば、現実的な事業計画を立てられます。

監修者

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO
名古屋工業大学 共同研究員
山中典(やまなか つかさ)

この記事では、稼働率の目安や客室単価の相場、営業利益率や利回りの水準といった数値をもとに、トレーラーハウス宿泊事業の収益構造を整理していきます。
目次

トレーラーハウス宿泊事業の収益性|3つの経営指標

トレーラーハウスの収益性も、宿泊業である以上は3つの指標に集約されます。まずはこの3つが何を表すのか押さえておきましょう。

収益性を測る3指標
  • 稼働率…トレーラーハウスがどれだけ利用されたかを示す割合。集客力の指標
  • 客室単価(ADR)…1棟あたりの平均販売単価。価格設定と付加価値の指標
  • 営業利益率…売上に対してどれだけ利益が残るかの割合。経営効率の指標

この3つは連動して見るものです。稼働率と客室単価を掛け合わせれば1棟あたりの収益力が見えてきて、そこから費用を引いて初めて営業利益率が定まります。3つをセットで考えること。これがトレーラーハウスの収益性を正しく読み解くコツです。

トレーラーハウスならではの特徴として、建物を新築せずに宿泊施設を用意できる点があります。初期投資と固定費を抑えやすいため、稼働率が極端に高くなくても収益を出しやすい構造になりやすいのが強みです。

トレーラーハウスの稼働率|目安と考え方

まずは稼働率です。稼働率とは、一定期間のうちにトレーラーハウス(1棟または1区画)がどれだけ利用されたかを示す指標で、宿泊業界ではOCC(Occupancy Rate)とも呼ばれます。集客がうまくいっているかを測る、基本の数字です。

稼働率の計算方法

稼働率の計算式

稼働率(%)= 利用された延べ棟数 ÷ (総棟数 × 営業日数)× 100

例:1棟のトレーラーハウスが月30日のうち18日利用された場合
18 ÷ 30 × 100 = 稼働率60%

用途別の稼働率の目安

トレーラーハウスの稼働率は、どんな用途で運用するかによって大きく変わります。宿泊事業の収益シミュレーションでは、月間稼働率60%程度を想定した試算例が示されています。観光需要やビジネス需要のある立地では、この水準を安定して維持しやすいとされています。

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運用スタイル稼働率の傾向特徴
観光地・リゾートの宿泊施設週末・繁忙期に集中しやすい高単価だが季節変動が大きい
ビジネス立地の簡易宿泊平日需要で平準化しやすい工業団地近くなどで安定稼働を狙える
グランピング併設体験価値で集客しやすい非日常性で高単価と集客を両立

ホテル全体の平均稼働率が60%前後といわれるなかで、トレーラーハウスも立地とターゲット設定次第で同等の水準を目指せます。逆にいえば、立地選定を誤ると稼働率が伸び悩むリスクもあるということです。開業前のロケーション選びが、稼働率を左右する最大のポイントになります。

参照元:船井総合研究所「トレーラーハウス事業とは?リスク・メリットを徹底解説」

トレーラーハウスの客室単価(ADR)|相場と高単価化

次は客室単価です。1棟あたりの平均販売単価を指し、ホテル業界でいうADR(Average Daily Rate)にあたります。稼働率が「どれだけ埋まったか」を表すのに対し、客室単価は「1組からいくらもらえたか」を表す価格の指標です。

トレーラーハウスの客室単価の相場

宿泊用途のトレーラーハウスでは、1泊15,000円程度を客単価に設定した収益シミュレーションが示されています。一般的なキャンプ場のテントサイト(1組4,000〜5,000円程度)と比べると、しっかりした宿泊空間を提供できるぶん、単価を高めに設定しやすいのが特徴です。

単価の水準は、内装のグレードや提供する体験によって変わります。エアコン・キッチン・シャワーなどの設備を整え、非日常感のあるデザインにすることで、より高い単価でも予約が入りやすくなります。

参照元:船井総合研究所「トレーラーハウス事業とは?リスク・メリットを徹底解説」

グランピング化・高付加価値化による単価向上

客室単価をさらに引き上げる方法として有効なのが、グランピングとの組み合わせや高付加価値化です。トレーラーハウスをグランピング施設として運用すると、非日常感を求める層に訴求でき、高単価でも集客しやすくなります。

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運用スタイル1棟あたりの単価目安特徴
簡易宿泊・民泊型10,000〜15,000円稼働率重視で回転を上げる
宿泊施設(標準)15,000〜20,000円設備を整え安定した単価を狙う
グランピング・高付加価値型20,000〜30,000円以上非日常体験で高単価を実現

設備投資は必要になりますが、単価が上がればRevPAR(後述)の改善に直結します。すべてを高単価型にするのではなく、立地やターゲットに合わせて運用スタイルを選ぶことが、収益の最大化につながります。

トレーラーハウスの営業利益率|収益構造と利回り

3つめが営業利益率です。売上に対してどれだけ利益が残るかを示す、経営効率のものさしです。トレーラーハウスは初期投資と固定費を抑えやすいため、宿泊業のなかでも利益を出しやすいとされる業態です。

利回りと投資回収の目安

トレーラーハウス投資では、年間利回り10〜20%が現実的とされる試算が複数の事業者から示されています。1棟あたりの導入費は500万円台(税別、別途運搬・設置費)からのケースもあり、小資本から始めやすい点が特徴です。

ある収益シミュレーションでは、客単価1泊15,000円・月間稼働率60%で1棟あたり年間売上約324万円、経費を差し引いた年間粗利益は約264万円という試算が示されています。初期投資1,000万円に対して約3.8年で回収できる計算で、一般的な不動産投資と比べても回収期間が短いとされています。

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項目金額(1棟・年間)
売上(客単価15,000円×稼働率60%×30日×12ヶ月)約324万円
経費(清掃費・管理費・消耗品費など)約60万円
年間粗利益約264万円

参照元:船井総合研究所「トレーラーハウス事業とは?リスク・メリットを徹底解説」

費用構造

利益率を左右するのが費用構造です。トレーラーハウス宿泊事業の主な費用項目を整理しておきましょう。

主な費用項目
  • 清掃費・管理費…チェックアウトごとの清掃、日常の維持管理
  • 水道光熱費…電気・水道・ガス。空調の使用状況で変動
  • 広告宣伝費・予約サイト手数料…OTA掲載料や手数料
  • 車検・車両関連費…車両扱いのため定期的な車検などが発生
  • 保険料…賠償責任補償など

ホテルのように大規模な建物や多数のスタッフを抱える必要がないため、固定費を小さく保ちやすいのが利点です。ただし車両扱いならではの車検費用など、トレーラーハウス特有のコストは計画に織り込んでおきましょう。

宿泊業全体で見ると、営業利益率は10%以上を目指すのが一つの目安とされ、20%を超えると優良水準とされています。トレーラーハウスは固定費が小さいぶん、稼働率と単価を確保できればこの水準を狙いやすい業態です。

参照元:日本経営教育研究所「ホテル・旅館業の利益率の計算式と適正水準」

3指標を掛け合わせるRevPARの視点

稼働率と客室単価を別々に見ているだけでは、収益力の全体像はつかめません。そこで役立つのがRevPAR(レブパー/Revenue Per Available Room)という指標です。稼働率×客室単価で求められ、1棟が1日あたり平均でいくら稼いだかを表します。

RevPARの計算式

RevPAR = 客室単価(ADR)× 稼働率

例:客室単価15,000円、稼働率60%
15,000円 × 60% = RevPAR 9,000円

ここで大事なのは、稼働率が高い施設が必ずしも収益力が高いとは限らないという点です。安売りで稼働率だけ上げても、単価が低ければRevPARは伸びません。稼働率・単価・利益の3点を同時に見る視点が、失敗を防ぐカギになります。

トレーラーハウスならではの収益ポイントと注意点

トレーラーハウスには、他の宿泊施設にはない収益上の特徴と、事前に知っておきたい注意点があります。

車両扱いによる税務上の特徴

トレーラーハウスは、一定の要件を満たすと税法上「車両」として扱われます。この場合、建物にかかる固定資産税(家屋分)が課されないとされており、財務面での特徴のひとつです。ただし、設置状況によっては建築物とみなされる可能性もあるため、税務や法規の扱いは事前に確認しておく必要があります。

建築確認・設置場所に関する確認事項

トレーラーハウスは、随時かつ任意に移動できる状態を保っていれば建築物に該当しないと判断されるケースがあります。ただし、ライフラインの接続方法や設置状態によっては建築確認が必要になることもあり、これは個別の行政判断になります。市街化調整区域や農地に設置する場合は、別途許可が必要になることもあるため、土地の条件は必ず事前に確認しましょう。

旅館業法などの許認可

宿泊施設として運用する場合は、旅館業法の許可が必要です。食事を提供するなら食品衛生法、消防設備については消防法など、複数の法令が関わってきます。用途に応じて必要な許認可を洗い出し、開業前に行政と協議しておくことが、スムーズな事業スタートにつながります。

参照元:トレイルイン「トレーラーハウス投資で失敗しない!利回り・節税・固定資産税まで徹底解説」

収益性を高める打ち手と設備選び

トレーラーハウス宿泊事業の収益性は、稼働率・単価・費用の3点で決まります。この3点を動かすための打ち手を整理します。

客室単価を引き上げる

いちばんインパクトが大きいのが単価の引き上げです。内装のグレードアップ、グランピングとの組み合わせ、地域体験の付加などで、1組あたりの単価を高められます。非日常感のあるデザインは、SNSでの拡散にもつながり、集客と単価の両面で効いてきます。

通年営業で稼働できる期間を伸ばす

季節限定の営業では、その期間しか売上が立ちません。冬でも快適に過ごせる宿泊環境を用意できれば、稼働できる日数そのものを増やせます。年間稼働率の底上げに直結する打ち手です。ここで重要になるのが、宿泊棟の断熱性能です。

立地とターゲットを最適化する

トレーラーハウスの収益は立地選定に大きく左右されます。観光需要のあるリゾート地なら高単価の宿泊施設、ビジネス需要のある工業団地近くなら平日稼働を狙った簡易宿泊、というように、立地に合わせてターゲットと価格を設計することが、安定稼働のカギになります。

宿泊棟の選択肢を比較する

宿泊事業に使える建物を新築しない選択肢は、トレーラーハウスだけではありません。建築確認が原則不要とされる工作物分類の宿泊棟には、ドーム型のインスタントハウスという選択肢もあります。それぞれ特徴が異なるため、目的に合わせて比較検討するとよいでしょう。

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項目トレーラーハウスインスタントハウス
分類車両(要件を満たす場合)工作物
建築確認条件付きで不要原則不要(行政判断による)
設置牽引・搬入して設置基礎工事不要・ペグやビスで固定
移動・移設牽引で移動しやすいパージ型は分解・移設が可能
断熱製品により差がある断熱材を360°に使用

特に通年営業を前提にするなら、断熱性能は見逃せません。断熱材を360°に使用したインスタントハウスは、外気温の影響を受けにくいため、冬季でも快適な滞在を提供しやすい構造です。基礎工事が不要でペグやビスで固定でき、設置は数時間(約6時間)で完了するため、宿泊区画を機動的に増やす手段としても取り入れやすい選択肢です。積雪地域では、屋根上の積雪40cmまで(耐雪仕様で60cmまで)対応する設計となっている点も検討材料になります。

通年営業に向く宿泊棟の条件
  • 外気温の影響を受けにくい断熱性能がある
  • 建築確認の要否を行政に確認できる
  • 設置や移設がしやすく、レイアウト変更に対応できる
  • 積雪や強風など立地の気象条件に耐えられる

費用を見直して利益率を守る

売上を伸ばすと同時に、費用のコントロールも欠かせません。セルフチェックイン導入による人件費の圧縮、予約サイト頼みから自社サイト予約への誘導による手数料削減などが代表的な打ち手です。固定費が小さい業態だからこそ、一つひとつの費用を見直す姿勢が利益率を守ります。

トレーラーハウス宿泊事業の収益性に関するよくある質問

トレーラーハウスの稼働率の目安はどのくらいですか?

収益シミュレーションでは月間60%程度を想定した試算例が示されています。観光需要やビジネス需要のある立地では、この水準を安定して維持しやすいとされています。稼働率は立地とターゲット設定に大きく左右されるため、開業前のロケーション選びが重要です。

トレーラーハウスの客室単価(1棟の単価)はいくらくらいですか?

宿泊用途では1泊15,000円程度を客単価に設定した試算例があります。簡易宿泊・民泊型なら10,000〜15,000円、グランピングなど高付加価値型では20,000〜30,000円以上と、運用スタイルによって幅があります。設備や体験価値を高めることで単価を引き上げられます。

トレーラーハウス事業の利回りや利益率はどのくらいですか?

年間利回り10〜20%が現実的とされる試算が複数の事業者から示されています。客単価15,000円・稼働率60%の例では1棟あたり年間粗利益約264万円、初期投資1,000万円に対して約3.8年で回収できる計算です。宿泊業全体では営業利益率10%以上が目安、20%超で優良水準とされます。

トレーラーハウスに固定資産税はかかりますか?

一定の要件を満たして税法上「車両」として扱われる場合、建物にかかる固定資産税(家屋分)は課されないとされています。ただし、設置状況によっては建築物とみなされる可能性もあるため、税務や法規の扱いは事前に専門家や行政に確認しておくことをおすすめします。

トレーラーハウスの収益性を高めるにはどうすればいいですか?

客室単価の引き上げ、通年営業による稼働日数の増加、立地とターゲットの最適化、費用の見直しが主な打ち手です。特にグランピング化などの高付加価値化は単価を大きく引き上げられ、断熱性能の高い宿泊棟を使った冬季営業は年間稼働率の底上げに直結します。

まとめ

この記事のポイント
  • トレーラーハウス宿泊事業の収益性は「稼働率・客室単価・営業利益率」の3指標で読み解く
  • 稼働率は月間60%を想定した試算例がある。立地とターゲット設定で大きく変わる
  • 客室単価は宿泊用途で1泊15,000円程度が試算例。グランピング化で20,000〜30,000円以上も狙える
  • 年間利回り10〜20%が現実的とされ、初期投資1,000万円で約3.8年の回収という試算もある
  • 車両扱いによる税務上の特徴や建築確認・許認可は、設置前に必ず確認する
  • 収益性を高めるには、単価引き上げ・通年営業・立地最適化・費用見直しが有効。宿泊棟は断熱性能で選ぶ

トレーラーハウス宿泊事業は、初期投資を抑えつつ高い利回りを狙える魅力的な選択肢です。稼働率・客室単価・営業利益率の目安を押さえたうえで、自分の計画がどのラインにあるのかを確かめてみてください。単価アップや通年営業といった打ち手を組み合わせれば、収益性をさらに高めていけます。

宿泊事業の高付加価値化や通年営業に向けた宿泊棟の選定など、収益性を高める設備のご相談はお気軽にお問い合わせください。

監修者

山中典(やまなか つかさ)

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO/名古屋工業大学共同研究員。インスタントハウスの開発・事業を軸に、災害支援から多様な空間活用まで幅広く展開している。

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