ドームハウスの寿命と価格を種類別に比較|総額で失敗しない選び方も解説

グランピング施設や店舗、離れの空間として人気が高まっているドームハウス。導入を検討し始めると気になるのが「寿命はどのくらいなのか」「価格はいくらかかるのか」という2つの疑問ではないでしょうか。実はどちらの答えも、ドームハウスの種類と素材によって大きく変わります。

監修者

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO
名古屋工業大学 共同研究員
山中典(やまなか つかさ)

この記事では、ドームハウスの主な種類を整理したうえで、種類別の価格相場と寿命の考え方を一次情報にもとづいて解説します。本体価格だけでは見えない基礎工事・輸送・設営の費用まで含めた「総額での比較」の視点も紹介するので、導入前の判断材料としてお役立てください。
目次

ドームハウスとは?主な種類と素材

ドームハウスとは、半球形の構造物の総称です。同じ「ドーム型」でも素材と工法はさまざまで、大きく4つのタイプに分けられます。

膜・テント型(グランピングで主流)

金属フレームにPVCなどの膜材を張るタイプで、グランピング施設の宿泊棟として最も普及している形です。価格が手頃で搬入もしやすい反面、幕体は消耗品としての性格が強く、屋外での長期使用では張り替えを見込む必要があります。

発泡ポリスチレン型

特殊な発泡ポリスチレンのパーツを組み上げるタイプで、国内ではジャパンドームハウスが代表格です。厚さ20cmの発泡ポリスチレンで構成され、1棟分の重量が約970kgと軽量でありながら、素材そのものが断熱材の役割を果たすのが特徴とされています。阿蘇ファームランドでは450棟が宿泊施設として稼働している導入実績があります。

参照元:ジャパンドームハウス株式会社「ドームハウスの特長」公益財団法人石川県産業創出支援機構「発泡ポリスチレン製のドームハウスを開発」

木製・パネル組立型

木材やポリエチレンなどのパネルを組み立てるジオデシックドーム系のタイプです。DIYで組み立てられるキット製品もあり、小屋や趣味の空間として選ばれています。木製は風合いが魅力ですが、屋外では塗装などの手入れが寿命を左右します。

断熱材吹付け型という新しいタイプ

テントシートを空気で膨らませ、内側から断熱材を吹き付けて成形する新しい工法のタイプも登場しました。膜の手軽さと硬質構造の快適さを併せ持つ方式で、詳しくは記事の後半で取り上げます。

ドームハウスの価格相場【種類別】

種類ごとの価格帯と工期の目安を一覧にまとめました。価格は時期や仕様によって変動するため、最新の情報は各メーカーの公式サイトで確認してください。

スクロールできます
タイプ価格帯の目安設置・工期の傾向
簡易型(温室・レジャー用)20万円台〜キット組立が中心で短期間
膜・テント型(グランピング用)数十万〜380万円超フレーム組立と幕張りで数日程度
発泡ポリスチレン型標準タイプ480万円〜という紹介例2人で約7日間の施工例
住居・店舗用(本格施工型)700万円〜基礎・内装工事を含み数か月規模

簡易型は20万円台から、グランピング用は数百万円規模

キャンプや温室用の簡易的なドームハウスは20万円から380万円ほどまで幅があり、温室用の「ガーデンイグルー」(10㎡)が190,300円、「エコドーム」が262,350円といった個別例が紹介されています。グランピング用では、71㎡の大型テントで3,875,000円という例もあり、面積とオプションで金額が大きく変わる世界です。

住居・店舗用は700万円台から

基礎工事や内装まで含めた住居用・店舗用のドームハウスは700万円からが相場とされています。この価格帯になると建築の手続きや設計も本格化するため、一般的な建築プロジェクトに近い準備が必要と考えておくべきでしょう。グランピング施設全体の費用感については、こちらの記事で詳しく整理しています。

参照元:ドムハカタログ「ドームハウスの価格相場とは」公益財団法人石川県産業創出支援機構「発泡ポリスチレン製のドームハウスを開発」

見落としがちな本体価格以外の費用

比較検討でつまずきやすいのが、カタログの本体価格だけを並べてしまうことです。実際の支払い総額には、次のような費用が上乗せされます。

  • 基礎工事費(基礎が必要なタイプの場合)
  • 輸送費・搬入費(大型部材はクレーンや特殊車両が必要な場合も)
  • 設営・施工費(本体と別見積もりのメーカーが多い)
  • 電気・給排水などの付帯工事費

本体価格が安く見えても、基礎と設営の費用を足すと逆転するケースは珍しくありません。見積もりを取る際は「設営まで込みの総額」と「引き渡しまでの工期」を必ずセットで確認してください。

ドームハウスの寿命はどのくらい?素材と手入れで決まる

「ドームハウスの寿命は何年」と一律に語ることはできません。素材によって劣化のしかたが根本的に異なるうえ、設置環境と手入れの頻度で同じ製品でも差が開くためです。種類別に、寿命の考え方を整理します。

膜・テント型は幕の張り替えが前提

膜・テント型の寿命は、フレームと幕体で分けて考えるのが基本です。金属フレームは長く使える一方、紫外線と風雨にさらされる幕体は消耗品で、汚れ・色あせ・防水性の低下が進んだ段階で張り替えることになります。事業で使うなら、幕の張り替え費用を数年ごとのランニングコストとして収支に織り込んでおくのが現実的です。

硬質素材型は表面加工の維持が鍵

発泡ポリスチレン型について、ジャパンドームハウスは、素材が紫外線・薬品・熱などの影響を受けなければ錆びたり腐ったりせず半永久的に変化しないとし、UVカット塗装など劣化を防ぐための表面加工を重ねていると説明しています。つまり硬質素材型の寿命は、素材そのものより表面の塗装・コーティングをどれだけ維持できるかにかかっているといえます。外壁塗装の塗り直しと同じ発想で、定期的な再塗装を計画しておくと安心です。

木製のパネル組立型も考え方は同様で、防腐・防水塗装の手入れを続けられるかが分かれ目になります。

参照元:ジャパンドームハウス株式会社「ドームハウスの特長」

寿命を左右する3つの条件

同じ製品でも寿命に差がつくポイント
  • 立地環境|海沿いの塩害、直射日光の強さ、積雪量など、置かれる環境の厳しさ
  • 固定と施工の質|風であおられる緩みや雨水の侵入は、劣化を早める入口になる
  • 手入れの頻度|清掃・点検・再塗装や幕の張り替えを計画的に行えるか

購入前に確認したいのは、メーカーが提示する保証内容と、消耗部材の交換費用です。「何年もつか」をメーカーに聞くより、「何を何年ごとに交換・補修する想定か」を聞くほうが、実態に近い答えが得られます。

失敗しないドームハウスの選び方

用途と設置場所から逆算する

宿泊用か、店舗か、趣味の空間か。用途が決まれば、必要な断熱・空調のレベルと広さが決まり、選ぶべきタイプは自然に絞られるものです。設置場所の搬入経路も重要で、大型部材やクレーンが入れない立地では、選択肢そのものが変わってきます。

「本体価格」ではなく「総額と工期」で比較する

前述のとおり、基礎・輸送・設営まで含めた総額で並べ直すと、本体価格の順位はしばしば入れ替わります。事業利用なら工期も収益に直結する要素です。設置に数か月かかるタイプと数日で済むタイプでは、営業開始までの機会損失がまったく違うため、「総額÷営業開始までの早さ」という視点で比べることをおすすめします。

法規制・税金の扱いを事前に確認する

ドームハウスは種類と設置方法によって、建築基準法の手続きや固定資産税の扱いが変わる場合があります。購入後に想定外の手続きや課税が判明する失敗を避けるため、候補を絞った段階で自治体への確認を済ませておきましょう。法規制の考え方はこちらの記事で解説しています。

設営約6時間・基礎工事不要のインスタントハウスという選択肢

2011年の東日本大震災での被災地支援をきっかけにした名古屋工業大学大学院の北川啓介教授の研究をもとに、LIFULLと名古屋工業大学大学院による共同研究にて開発した新しい構築物であるインスタントハウスは、先ほど紹介した断熱材吹付け型にあたるドーム型の構築物です。テントシートを空気で膨らませながら、内側から断熱材を吹き付けて形成します。

本体価格に設営費が含まれるわかりやすい価格設定

この記事で強調してきた「総額と工期での比較」において、インスタントハウスは分かりやすい選択肢です。基礎工事が不要でペグやビスによる固定で設置でき、設営は数時間(約6時間)で完了します。本体価格に設営費が含まれているわかりやすい価格設定のため、「本体は安かったのに設営費で予算超過」という失敗が起こりにくく、見積もり段階で総額を把握できます。

工期の短さが最も効いてくるのは事業利用でしょう。数日〜数か月の施工を待たずに営業を始められることは、投資回収の早さに直結するためです。

断熱構造と分解・移設への対応

断熱材を360°に使用した構造で外気温の影響を受けにくく、夏冬の屋外でも空調の効いた空間を保ちやすいのが特徴です。長く使う視点では、1年間の保証とリペアキットが付属するため、日常の小さな補修を自分たちで行いながら使い続けられます。

分解・組み立て・移設に対応するパージ型を選べば、設置場所を変えながら再利用する使い方も可能です。サイズを調整することも可能なため、用途に合わせた空間づくりに対応できます。グランピングでの活用を検討している方は、ドームテントとの比較記事もあわせてご覧ください。

ドームハウスの寿命・価格に関するよくある質問

ドームハウスの寿命は何年くらいですか?

素材と手入れによって大きく変わるため、一律の年数では語れません。膜・テント型は幕体の張り替えを前提に、硬質素材型は表面塗装の維持を前提に考えるのが実態に近い整理です。メーカーには「何を何年ごとに交換・補修する想定か」を確認してみてください。

ドームハウスは台風や雪に耐えられますか?

製品ごとに想定条件が異なるため、耐風・積雪の仕様確認が必須です。ドーム型は力が分散しやすい形状とされていますが、固定方法や施工の質でも結果は変わるものです。参考として、インスタントハウスは80m/s程度までの耐風性能と積雪40cmまでの対応(耐雪仕様で60cm)とされています。

ドームハウスはDIYで組み立てられますか?

キット販売に対応した製品もあり、簡易型では自分で組み立てる選択肢があります。ただし基礎や電気・給排水は専門工事が必要になる場合が多いため、どこまで自分で行えて、どこから業者に頼むのかを購入前に確認してください。

グランピング施設にはどの種類が向いていますか?

開業の規模と運営方針によって最適解が変わります。初期費用を抑えるなら膜・テント型、通年営業の快適さと運営の手間を重視するなら断熱性の高い硬質構造タイプが候補になります。総額・工期・メンテナンスの3点で比較して選んでください。

まとめ|カタログ価格ではなく「総額・工期・維持」で選ぶ

この記事のポイント
  • ドームハウスは膜・テント型、発泡ポリスチレン型、木製・パネル組立型、断熱材吹付け型に大別できる
  • 価格は簡易型の20万円台から住居・店舗用の700万円台以上まで、種類と面積で大きく変わる
  • 寿命は一律の年数ではなく、素材の劣化のしかたと手入れの継続で決まる
  • 比較は本体価格ではなく、基礎・輸送・設営まで含めた総額と工期、維持の手間で行う

ドームハウス選びで後悔する原因の多くは、カタログの本体価格と見た目だけで決めてしまうことにあります。総額と工期、そして買った後の維持まで含めて比べれば、自分の用途に合う1台は自然に見えてくるはずです。

気になる製品が見つかったら、「設営込みの総額」「営業開始までの期間」「何を何年ごとに補修するか」の3つを各メーカーに聞くところから始めてみてください。

監修者

山中典(やまなか つかさ)

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO/名古屋工業大学共同研究員。インスタントハウスの開発・事業を軸に、災害支援から多様な空間活用まで幅広く展開している。

株式会社LIFULL ArchiTechは、東証プライム上場企業である株式会社LIFULLの子会社です。

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