キャンプ場の経営が安定しない最大の原因は「稼働率の波」です。繁忙期の週末はほぼ満場でも、平日はガラガラ。夏は忙しくても、冬は閑散期で赤字。雨が降ればキャンセルが続出する。こうした稼働率のムラが、キャンプ場の収益化を難しくしています。
監修者

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO
名古屋工業大学 共同研究員
山中典(やまなか つかさ)
この記事では、キャンプ場運営者が直面する3大課題(平日集客・冬の閑散期・雨天対策)に対して、施設側で打てる具体的な改善策を整理します。さらに「テントサイトにグランピング要素を追加する」というアップグレード戦略も含めて、キャンプ場の収益構造を根本から見直すためのガイドとしてまとめました。
キャンプ場の収益化を妨げる3つの課題
キャンプ場経営の収益構造を理解するために、まずは業界平均の数字を確認しておきましょう。レジャー観光開業ナビの収益シミュレーションでは、キャンプ場の稼働率は業界平均で10%〜20%程度とされています。つまり年間を通して見ると、大半の日は空きサイトが埋まっていないのが実態です。
参照元:レジャー観光開業ナビ「キャンプ場の経営で儲ける・安定的に稼ぐ知識」
この低い稼働率の背景には、3つの構造的な課題があります。
| 課題 | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| ①平日の集客不足 | キャンプは週末・祝日に集中する傾向が強く、平日は稼働率が著しく低い | 年間の約70%にあたる平日がほぼ遊休状態になる |
| ②冬の閑散期 | 11月〜3月は気温低下と日照時間の短さで需要が激減する | 年間の約5か月にわたる売上の落ち込み |
| ③雨天によるキャンセル | 雨予報でキャンセルが続出し、直前キャンセルは再販も困難 | 繁忙期の週末でも天候次第で売上が大幅に減少 |
ハウスバードの解説でも、年間通して安定した収益を上げづらいところがキャンプ場経営のデメリットだと指摘されています。ただし閑散期のめぼしが事前につくため、開業前から対策を講じることは十分可能とも述べられています。
参照元:ハウスバード「キャンプ場の経営で儲ける・安定的に稼ぐ知識とリスクを解説」
【課題①】平日集客を改善する5つの施策
ネイチャーサービスのアウトドア事業メディアでは、平日の稼働率向上がキャンプ場経営の最重要課題の一つとして詳しく取り上げられています。年間365日のうち約70%を占める平日を有効活用できれば、売上の構造が大きく変わります。
参照元:ネイチャーサービス「キャンプ場が平日に売上を上げる方法」
施策1.ソロキャンパー向けプランの整備
ハウスバードの解説でも、キャンプ場の平均稼働率上昇の大きな要因となった平日キャンパーのなかにはソロキャンパーが多く含まれていると指摘されています。ソロキャンパーは平日に動ける層が多いため、1人用の割安プランやソロ専用サイトを設けることで平日稼働の底上げにつながります。
施策2.企業研修・チームビルディングの受け入れ
トリプラの解説でも、平日限定で企業のチームビルディング研修を受け入れて閑散期の収益を補っている事例が紹介されています。企業研修は平日開催が基本で、グループ単位の利用になるため客単価も高い。BBQや焚き火を活用したチームビルディングプログラムを用意すれば、キャンプ場の設備をそのまま活かせます。
参照元:トリプラ「キャンプ場経営は儲かる?開業資金・収益モデル・成功のコツを解説」
施策3.サブスクリプション(定額制)の導入
ネイチャーサービスの解説では、従来の「一泊いくら」から「月額定額で○回使い放題」といったサブスクリプションモデルへの転換が提案されています。会員は定額料金を支払うことでより頻繁に施設を利用するようになり、結果として平日の稼働を底上げする効果が期待できるでしょう。
施策4.平日限定の割引・特典プラン
最もシンプルな施策が、平日限定の割引プランです。「平日30%OFF」「平日はレイトチェックアウト無料」「平日限定で薪のサービス」など、週末との価格差をつけることで平日利用のインセンティブを作れます。OTA(予約サイト)やSNSでの告知を徹底すれば、平日に動ける層への認知を広げられます。
施策5.デイキャンプ・日帰りBBQプランの強化
宿泊にこだわらず、日帰り利用のプランを強化するのも平日稼働の改善に有効です。平日は宿泊客が少ないぶん、デイキャンプやBBQ、キャンプ体験教室などを受け入れる余裕があり、追加収入源として機能します。
【課題②】冬の閑散期を乗り越える施設側の対策
「冬キャンプの寒さ対策」というテーマでは利用者向けの情報が数多く出回っていますが、キャンプ場運営者にとって重要なのは「施設側として何を整えれば冬の稼働を上げられるか」です。トリプラの解説では、薪ストーブ付きのコテージを導入して冬キャンプをテーマにしたプランを展開したところ、12月〜2月の稼働率が前年比で3倍に向上した事例が紹介されています。
参照元:トリプラ「キャンプ場経営は儲かる?開業資金・収益モデル・成功のコツを解説」
冬営業のための施設整備チェックリスト
| 整備項目 | 内容 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| AC電源サイトの増設 | 電気ストーブ・電気毛布・ホットカーペットが使えるサイトを増やす | 冬キャンプ初心者の来場ハードルが下がる |
| 温水が出る炊事場 | 冬場の洗い物は冷水では厳しく、温水対応が口コミ評価に直結する | レビュー評価向上・リピート率向上 |
| 暖房付き共用スペース | 管理棟やラウンジに暖房を入れ、ゲストの「避難場所」を確保する | 冬でも安心して来場してもらえる |
| サウナの導入 | 冬こそサウナの需要が高まる。外気浴が気持ちいい季節として訴求できる | 客単価アップ・冬季限定の目玉コンテンツ |
| 断熱性の高い常設宿泊棟 | テントではなく断熱された常設棟があれば、冬キャンプ未経験者も取り込める | 客室単価の引き上げ・冬の稼働率改善 |
ハウスバードの解説でも、通年楽しめるキャンプ場にするならロッジ・コテージ・バンガローなどの施設を併設する方法が有効だとされています。ただし木造建築のコテージは建築確認や基礎工事に費用と時間がかかるため、投資対効果を慎重に検討する必要があるでしょう。
冬営業で最も重要なのは「テントサイト利用者に冬装備を求める」のではなく、「施設側が寒さを解消した選択肢を用意する」ことです。断熱性のある常設宿泊棟やサウナがあれば、冬キャンプの経験がないファミリー層やカップル層も取り込めます。
【課題③】雨天キャンセルを減らすための施設側の対策
雨天によるキャンセルは、繁忙期の週末でも売上を大幅に下げる厄介な問題です。テントサイトのみのキャンプ場では、雨予報が出た時点でキャンセルが発生しやすく、直前キャンセルは再販も困難。施設側で打てる対策は「雨でも楽しめる環境を用意する」ことに尽きます。
雨天対策として有効な施設整備
- 屋根付きBBQスペース……雨でもBBQが楽しめる全天候型のスペースがあれば、雨天キャンセルの最大の理由(食事が困る)を解消できる
- 共用ラウンジ・休憩棟……雨天時にゲストが集まれる屋内スペースがあれば、「雨でもやることがある」と安心感を提供できる
- 常設型の宿泊棟……テントではなく断熱・防水が万全な常設棟があれば、雨天でも快適に宿泊できる。テントサイトとの併設で「雨でも泊まれるプラン」の選択肢を増やせる
- キャンセルポリシーの見直し……雨天時のキャンセル料を適切に設定し、「雨でも楽しめる設備があります」という案内と組み合わせることで、キャンセル率を下げる効果が期待できる
キャンラブのキャンプ場経営解説でも、コテージやロッジは雨天時でも安心して利用でき、テント設営の手間がないため家族やグループでの利用に人気があるとされています。テントサイトだけのキャンプ場から、常設棟を加えた複合型施設へのアップグレードが、雨天対策と冬営業の両方に効く施策になります。
参照元:キャンラブ「キャンプ場経営がアツい!市場拡大の理由と成功の秘訣」
3つの課題を同時に解決する|グランピング要素の追加という戦略
ここまで見てきた3つの課題(平日集客・冬の閑散期・雨天対策)に対して、共通する解決策があります。それは「既存のキャンプ場にグランピング要素を追加する」という戦略です。
なぜグランピング要素の追加が3つの課題に効くのか
| 課題 | グランピング要素がもたらす効果 |
|---|---|
| 平日集客 | グランピングのターゲット層はキャンプ初心者・カップル・女性グループなど、平日に動ける層と重なる。客単価もテントサイトより高いため、平日の少ない来場者でも収益が確保しやすい |
| 冬の閑散期 | 断熱性のある常設棟なら冬でも快適に宿泊でき、冬キャンプ未経験者も取り込める。サウナを併設すれば「冬こそ楽しめる施設」として訴求可能 |
| 雨天キャンセル | 常設棟は雨天でも快適に宿泊できるため、テントサイトのようなキャンセルが発生しにくい。屋根付きBBQスペースやラウンジとの組み合わせで雨天時の体験価値を維持 |
ハウスバードの解説でも、サイト利用料が平均4,000円であるのに対し、グランピング施設では1人あたり数万円の宿泊料が見込めると紹介されています。つまりキャンプ場にグランピング棟を数棟追加するだけで、客単価を5倍以上に引き上げられる可能性があるのです。
インスタントハウスでグランピング棟を追加する
キャンプ場運営者がグランピング棟を追加する場合、最大のハードルは「建物を建てるコストと時間」です。木造コテージは建築確認申請や基礎工事が必要で、1棟あたり数百万円〜1,000万円以上、工期も数か月かかります。
この課題を解消する選択肢が、インスタントハウスです。2011年の東日本大震災での被災地支援をきっかけにした名古屋工業大学大学院の北川啓介教授の研究をもとに、LIFULLと名古屋工業大学大学院による共同研究にて開発した構築物で、法的に「工作物」として扱われます。
キャンプ場の運営改善という文脈で注目すべき特性は次のとおりです。
- 建築確認申請が原則不要(行政判断による)……既存キャンプ場の敷地内に追加設置する際の手続きハードルが低い
- 基礎工事不要・ペグやビスで固定……既存のテントサイトの区画を活用して設置でき、大規模な造成が不要
- 設営は数時間(約6時間)……繁忙期前に短工期で追加設置でき、「次のGW・夏休みに間に合わせたい」に対応
- 断熱材を360°に使用……外気温の影響を受けにくく、冬営業の常設宿泊棟として年間を通じて活用可能
本体価格に設営費が含まれているわかりやすい価格設定で、サイズを調整することも可能です。特注仕様の場合は製作期間が別途必要となります。

断熱材の発泡ウレタンを用いた独自の構造により、高い断熱性能と熱循環効率を実現した新しいサウナであるインスタントサウナは、100V電源で運用可能な電気サウナストーブを採用しており電気工事が不要です。キャンプ場の冬営業の目玉コンテンツとして、インスタントハウスの宿泊棟と組み合わせて導入すれば、「冬でも楽しめるサウナ付きグランピング」という差別化ポジションを取れます。

グランピング棟の追加は、既存のテントサイトを減らす必要はありません。テントサイトはそのまま残しつつ、2〜3棟のグランピング棟を敷地内に追加する形であれば、既存の常連客を失うことなく「グランピングも選べるキャンプ場」へのアップグレードが可能です。既存のインフラ・管理体制・集客基盤を活かせるため、ゼロからグランピング施設を立ち上げるよりも投資効率が高い戦略です。
キャンプ場の運営改善でよくある質問
- キャンプ場の平均的な稼働率はどれくらいですか?
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業界平均で10%〜20%程度とされています。繁忙期の週末はほぼ満場でも、平日と冬の閑散期で稼働率が大きく落ちるため、年間を通すと低い水準に留まります。平日集客・冬営業・雨天対策の3つを改善できれば、稼働率を大幅に押し上げることが可能です。
- 冬のキャンプ場を営業するために最低限必要な設備は?
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AC電源サイトの整備、温水が出る炊事場、暖房付きの共用スペースが最低限の三本柱です。さらに踏み込むなら、断熱性のある常設宿泊棟やサウナの導入が冬の稼働率を大きく改善します。施設側が「寒さを解消した選択肢」を用意することが、冬営業成功の鍵です。
- 雨の日のキャンセルを減らすにはどうすればいいですか?
-
施設側の対策としては、屋根付きBBQスペース・共用ラウンジ・常設型の宿泊棟を整えることが有効です。「雨でも楽しめる設備がある」ことを予約時に案内できれば、天候理由のキャンセルを大幅に減らせます。キャンセルポリシーの適切な設定も合わせて検討しましょう。
- キャンプ場にグランピング棟を追加するメリットは?
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テントサイトの客単価が平均4,000円程度であるのに対し、グランピング棟では1人あたり数万円の宿泊料が見込めるため、客単価を大幅に引き上げられます。断熱性のある常設棟なら冬営業・雨天対策にも対応でき、平日集客でも初心者層やカップル層を取り込みやすくなるため、3大課題を同時に改善できる施策です。
- グランピング棟の追加にインスタントハウスを使うメリットは?
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建築確認申請が原則不要(行政判断による)で基礎工事も不要なため、既存キャンプ場の敷地内に短工期で追加設置できます。設営は数時間(約6時間)で完了し、断熱材を360°に使用しているため冬営業にも対応可能です。動産として扱われるのが一般的で、撤去・移設も柔軟に行えるため、「まずは2〜3棟から試す」アプローチが取りやすい点もメリットです。
- キャンプ場の収益性を高めるために最も効果的な施策は?
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施設の状況によりますが、「客単価の引き上げ」と「閑散期の稼働改善」の両方に効く施策として、グランピング棟やサウナの追加が効果的です。テントサイトはそのまま残しつつ、グランピング棟を数棟追加するだけで収益構造が大きく変わります。既存のインフラと集客基盤を活かせるため、新規開業よりも投資効率が高くなりやすいでしょう。
まとめ
- 平日集客……ソロキャンパー向けプラン・企業研修受け入れ・サブスク・平日限定特典・日帰りBBQ強化の5施策で底上げ
- 冬の閑散期……AC電源サイト・温水炊事場・暖房付き共用スペース・サウナ・断熱性のある常設宿泊棟の整備で冬営業を可能にする
- 雨天キャンセル……屋根付きBBQスペース・共用ラウンジ・常設型宿泊棟を整えて「雨でも楽しめるキャンプ場」へ転換する
- 3課題の共通解……既存キャンプ場にグランピング棟を追加する戦略が、客単価アップ・冬営業・雨天対応を同時に実現する
- 構築物の選択……建築確認が原則不要で設営が数時間のインスタントハウスなら、既存サイトへの追加設置が短工期・低コストで可能
キャンプ場の収益化が難しい根本原因は「天候や曜日に依存した稼働構造」です。テントサイトだけの施設は、晴れた週末の繁忙期だけに売上が集中し、年間の大半を遊休状態で過ごすことになります。
この構造を変えるために有効なのが、既存のキャンプ場にグランピング要素を追加するアップグレード戦略です。テントサイトはそのまま残しつつ、断熱性のある常設棟を数棟加えるだけで、冬でも雨でも稼働する収益の柱が生まれます。既存のインフラ・土地・管理体制を活かせるため、ゼロから施設を立ち上げるよりもはるかに効率的です。
「まずは2〜3棟から試してみたい」という場合は、建築確認が原則不要で設営が短時間で完了するインスタントハウスのような構築物を検討してみてください。繁忙期に間に合わせる短工期増設が可能で、うまくいけば追加、合わなければ撤去という柔軟な判断が取れます。




