
グランピング施設を開業するには、結局どんな設備が必要で、それぞれいくらくらいかかるの?全体像が知りたい…
グランピング施設の開業では、宿泊棟だけでなく、トイレやシャワー、BBQスペース、インフラ整備まで多岐にわたる設備が必要になります。「何を、どこまで揃えればいいのか」が見えていないと、予算の見積りも立てられません。
監修者


株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO
名古屋工業大学 共同研究員
山中典(やまなか つかさ)
この記事では、グランピング施設に必要な設備を「宿泊棟」「共用設備」「BBQ・食事設備」「インフラ」の4カテゴリに分けて整理し、それぞれの費用目安と設備投資の優先順位について、業界メディアの情報をもとに解説します。
グランピング施設に必要な設備の全体像
まず、グランピング施設を開業するために必要な設備の全体像を把握しましょう。
設備カテゴリの一覧
RemoteLOCKの解説によると、グランピング開業にあたって必要な主な支出項目は「テント購入費用」「設備工事費用(水回り・電気)」「インテリアや備品費用」「BBQスペースやウッドデッキ、駐車場などの設置・整備費用」「集客費用」とされています。
参照元:RemoteLOCK「グランピング開業のための支出項目を解説」
これらを体系的に整理すると、以下の4カテゴリに分類できます。
| カテゴリ | 主な設備項目 |
|---|---|
| 宿泊棟の設備 | 宿泊構造物(テント・ドーム・インスタントハウスなど)、空調(エアコン・ストーブ)、寝具、家具・照明、ウッドデッキ |
| 共用設備 | トイレ、シャワー・入浴設備、管理棟(フロント・受付)、駐車場 |
| BBQ・食事関連設備 | BBQスペース、炊事設備、食器・調理器具、冷蔵庫 |
| インフラ | 上下水道の引き込み、電気引き込み、浄化槽、Wi-Fi・通信環境 |
設備投資の優先順位の考え方
リゾートグランピングドットコムのアンケート調査では、グランピングとキャンプのどちらが良いかという問いに対し、8割以上の女性がグランピングを支持しています。その理由として「トイレ」「入浴設備」「虫対策」「エアコン」といったベーシックな設備が挙げられており、これらを大前提として整備する必要があるとしています。
参照元:リゾートグランピングドットコム「グランピング経営情報/事業計画・モデル収支・開発費用」
グランピングは「手ぶらで快適にアウトドアを楽しめる」ことが価値の根幹です。特に女性客やファミリー層をターゲットにする場合、トイレ・入浴設備・空調の充実度は施設選びの決め手になります。予算配分を考える際は、この3つを最優先で確保しましょう。
宿泊棟の設備と費用
グランピング施設の設備投資で最も大きなウエイトを占めるのが宿泊棟です。構造物のタイプによって必要な付帯設備と費用が大きく変わります。
宿泊構造物のタイプ別費用
宿泊構造物の費用は、タイプによって大きな幅があります。以下は主要な情報源から確認できる費用目安です。
| 構造物タイプ | 本体価格の目安 | 情報元 |
|---|---|---|
| ドームテント(海外製) | 約100万円〜 | Dot Homes |
| ドームテント(日本製) | 250万〜350万円 | Dot Homes |
| ドームテント(平均) | 200万円前後 | ダイナテック |
| インスタントハウス | 2,244,000円(税込)〜 | インスタントハウス公式 |
| コテージ・ヴィラ(10棟以上) | 億単位の投資 | グランペディア |
参照元:Dot Homes「グランピング開業の初期費用とは?」 / ダイナテック「グランピング経営は儲かる?」 / インスタントハウス公式 / グランペディア
ただし、本体価格だけでは宿泊棟として完成しません。Dot Homesは「6mのドームテント1棟の購入費用は約100万円だが、建設や内装の費用も含めると合計800万〜1,000万円はかかる」としています。ウッドデッキ、空調、断熱ライナー、家具・家電などが上乗せされるためです。
客室内の設備(空調・寝具・家具・照明)
グランピングの客室には、ホテル並みの快適さが期待されます。イエウール土地活用によると、テント1棟あたりの初期費用は500万〜1,000万円程度とされており、この中には家具や家電、インテリアの費用も含まれています。
参照元:イエウール土地活用「グランピング経営について基礎から解説!」
客室内に必要な主な設備は以下のとおりです。
- 空調設備(エアコン、ストーブ、こたつなど。通年営業には冷暖房の両方が必須)
- 寝具(ベッド、マットレス、布団、枕、リネン類)
- 家具(テーブル、チェア、ソファ、収納、ハンガーラック)
- 照明(室内照明、間接照明、ランタン)
- 電化製品(冷蔵庫、ケトル、ドライヤー)
- アメニティ(タオル、歯ブラシ、シャンプー・ボディソープなど)
カプセルでは、テント1基あたりの内装費について「少なくとも100万円程度は予算組みをしておきましょう」としています。
参照元:カプセル「グランピング開業の初期費用&運営費用まとめ」
断熱性と空調コストの関係
空調設備の導入コストとランニングコストは、宿泊構造物の断熱性能に大きく左右されます。
一般的なドームテントは断熱材が入っていないため、寒冷地で通年営業する場合は断熱ライナーを別途購入し、高出力のエアコンやストーブを導入する必要があります。この追加コストは本体価格に含まれていない点に注意が必要です。
一方、インスタントハウスは構造体自体が断熱材(硬質ウレタンフォーム)であり、断熱材を360°に使用した構造で外気温の影響を受けにくいのが特徴です。断熱ライナーの追加購入が不要なため、空調関連の付帯費用を抑えられます。


共用設備の種類と費用
宿泊棟の設備と並んで重要なのが、トイレ・シャワー・管理棟などの共用設備です。グランペディアは「できればトイレや入浴設備は個別サイトに整備したい」としつつ、「この方法ではどうしても建築費用が高くなる」と指摘しています。
参照元:グランペディア「グランピング事業の開業準備と事業計画立案のポイント」
トイレ・シャワー(個別 vs 共用)
トイレとシャワーの設置方法は、「各サイト個別設置」と「共用施設として集約」の2パターンがあります。
| 設置方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 各サイト個別設置 | ゲストの快適性が高い。宿泊単価を高く設定しやすい | 配管工事費が大幅に増加。特に広い敷地では費用が膨らむ |
| 共用施設として集約 | 配管工事を集約でき、建設コストを抑えられる | ゲストの不便さが増し、女性客やファミリー層の満足度に影響 |
グランペディアは「トイレや入浴設備の不便さは小さなお子さん連れや女性客のストレスになるため、施設選択のポイントになる」と述べています。予算に限りがある場合は、まず共用施設として整備しつつ、将来的に個別設置へ移行する段階的なアプローチも選択肢です。
入浴設備(温泉・シャワー・貸切風呂)
Dot Homesは冬場の稼働率対策として「温泉施設の併設」を挙げています。入浴設備のグレードは、シャワーのみ→共用大浴場→貸切風呂→各棟個別の順にコストが上がりますが、同時にゲストの満足度と宿泊単価も上がります。
敷地内に温泉が湧出する物件であれば大きなアドバンテージになりますが、温泉を新たに掘削するには大きな投資が必要です。まずはシャワー設備を整えつつ、近隣の温浴施設との提携(無料チケット配布など)で対応するケースも実際に多く見られます。
管理棟・フロント設備
グランペディアは「グランピング施設の開業コストで最も大きくなるものは管理棟の整備費用」と指摘しています。管理棟には受付・フロント機能のほか、厨房設備や従業員の控室が必要になるケースもあります。
管理棟を新築すると大きな投資になるため、「管理棟として活用可能な建物が付帯している土地物件を選択したい」とグランペディアは述べています。既存のホテルや温浴施設に隣接してグランピングエリアを開設する場合は、既存施設の管理機能を共用でき、初期投資を大幅に抑えられます。
BBQ・食事関連の設備と費用
グランピング施設では、食事の提供がゲスト体験の大きな柱になります。リゾートグランピングドットコムは「人員確保や固定費削減を目的に食事提供をしないグランピング施設も登場しているが、これらの施設はいずれ競争で淘汰されるだろう」と述べており、食事設備への投資は避けて通れないものです。
参照元:リゾートグランピングドットコム「グランピング経営情報」
BBQスペース・炊事設備
BBQスペースに必要な設備は、BBQグリル(ガスグリルまたは炭火グリル)、テーブル・チェア、食器類、調理器具、調味料、クーラーボックス(冷蔵庫)、流し台、照明などです。
屋根付きのBBQスペースを整備すれば、雨天時にも食事を提供できるため、天候による稼働低下のリスクを軽減できます。
食品衛生法上の設備基準
食材を開封・調理して提供する場合は、飲食店営業許可の取得が必要です。この許可を取得するには、調理場の区画、手洗い設備、食器の消毒設備など、食品衛生法で定められた施設基準を満たす必要があります。
設備基準の詳細は自治体によって異なるため、計画段階で保健所に事前相談を行い、必要な設備を確認しておきましょう。
パックされた食材をそのまま(開封せず)ゲストに渡す方式であれば、施設基準のハードルが低い「届出」で対応できるケースがあります。どの方式で食材を提供するかは、厨房設備への投資額に直結するため、事業計画の段階で方針を固めておくとスムーズです。
インフラ整備にかかる費用
グランピング施設は自然豊かなエリアに立地するケースが多いため、上下水道や電気の引き込みなどインフラ整備に大きなコストがかかることがあります。
上下水道・電気引き込み・浄化槽
カプセルは「浄化槽が必要だったり、駐車場の整備をしたりすると費用はどんどん増えていく。上水道や電気の引き込みが大変な立地もあるので、インフラ設備にかかる金額の概算も土地選定の判断材料に入れておきましょう」と述べています。
参照元:カプセル「グランピング開業の初期費用&運営費用まとめ」
インフラ整備の主な費用項目は以下のとおりです。
- 上水道の引き込み工事(既存の水道管からの距離が長いほど費用増)
- 浄化槽の設置(下水道が未整備の地域では必須。規模と浄化方式により費用が変動)
- 電気引き込み工事(電柱からの距離、必要な電気容量による)
- 造成・整地工事(傾斜地の場合はデッキ工事費も大幅に増加)
Dot Homesは「地方だと、ほとんどの土地はインフラ整備が必要になる」「土地を上手に選ばないと、浄化槽の設置費用、電気設備や土地造成の工事費用がかかる」と指摘しています。土地代が安くても、インフラ整備で総コストが膨らむケースは少なくありません。
参照元:Dot Homes「グランピング開業の初期費用とは?」
グランペディアも「傾斜地は眺望が良いケースも多く魅力的だが、平坦地と比較してデッキ工事の3倍〜5倍程度のコストがかかる可能性がある」と述べています。ウッドデッキの費用は一般的に10平方メートルの新設で25万〜40万円程度(リショップナビの情報)ですが、グランピング用の大型デッキや傾斜地での施工はこの相場を大きく上回ります。
参照元:グランペディア「グランピング事業の開業準備」 / リショップナビ「ウッドデッキのリフォームにかかる費用」
インスタントハウスは基礎工事不要・ペグやビスで固定する構造のため、ウッドデッキの施工が必須ではありません。デッキ工事が不要または簡易で済む分、インフラ整備全体のコストを抑えることができます。
Wi-Fi・通信環境
ワーケーション需要の取り込みや、ゲストのSNS投稿を促進するためにも、Wi-Fi環境の整備は重要です。RemoteLOCKもグランピング施設の支出項目としてWi-Fiを挙げています。
山間部では光回線の引き込みが難しい場合もあり、モバイルWi-Fiルーターや衛星インターネットを検討する必要があるケースもあります。通信環境の良し悪しは企業研修やワーケーションでの平日利用の獲得にも影響するため、立地に合った方法を選びましょう。
グランピング施設の設備・費用でよくある質問
- グランピング施設1棟あたりの設備投資額はどのくらいですか?
-
イエウール土地活用によると、テント1棟あたり500万〜1,000万円程度が目安です。これには宿泊構造物の購入費だけでなく、内装費、空調設備、デッキ工事費なども含まれます。グランペディアは、管理棟の新築が不要でテントタイプを採用すれば1室500万円以内で整備できるケースもあるとしています。
- トイレやシャワーは各棟個別に設置すべきですか?
-
グランペディアは「できれば個別サイトに整備したい」としつつも、費用が高くなる点を指摘しています。予算に限りがある場合は、まず共用施設として整備し、将来的に個別設置に移行するアプローチも選択肢です。トイレや入浴設備の充実度は集客に直結するため、優先度は高く設定しましょう。
- 客室内の内装費はどのくらい見ておけばよいですか?
-
カプセルは「少なくとも100万円程度は予算組みをしておきましょう」としています。ベッド、家具、照明、家電、アメニティなどが含まれます。「グラマラス(豪華)」な体験を提供するために、あまり質素にしすぎないことが大切です。
- インフラ整備で見落としがちな費用はありますか?
-
浄化槽の設置費用、上水道・電気の引き込み工事費用は見落としがちです。Dot Homesは「地方だと、ほとんどの土地はインフラ整備が必要」と指摘しています。また、グランペディアによると傾斜地ではデッキ工事費が平坦地の3〜5倍になる可能性もあります。土地代が安くてもインフラで総コストが膨らむケースに注意しましょう。
- 設備投資を抑えつつ快適な宿泊環境を作るには?
-
宿泊構造物の選び方がカギです。構造体自体が断熱材であるインスタントハウスなら、断熱ライナーの別途購入が不要で、基礎工事やウッドデッキの施工費も抑えられます。建築確認申請も原則不要(行政判断による)なため、設計費・申請費も削減できます。
まとめ
- 設備は「宿泊棟」「共用設備」「BBQ・食事設備」「インフラ」の4カテゴリで整理する
- 設備投資の最優先は「トイレ・入浴設備・空調」。女性客やファミリー層の獲得に直結する
- 宿泊構造物は本体価格だけでなく、内装・空調・断熱対策・デッキ工事を含めたトータルコストで比較する
- 管理棟の整備が最大のコスト要因。既存建物の活用や既存施設との隣接開業で大幅に削減可能
- インフラ整備(水道・電気・浄化槽・デッキ工事)は土地の条件で大きく変動する。土地代だけで判断しないこと
グランピング施設の設備は多岐にわたりますが、「何を最優先に整備すべきか」を明確にしておけば、限られた予算を効率的に配分できます。特に宿泊構造物の選択は、空調コストやデッキ工事費などの付帯費用にまで影響を及ぼすため、設備計画の起点として慎重に検討しましょう。
インスタントハウスは、構造体自体が断熱材で、基礎工事不要・建築確認が原則不要(行政判断による)という特徴から、設備投資のトータルコストを抑えたい事業者に適した選択肢です。詳細は以下からご確認ください。












