グランピングや農泊などの新事業を始めたいとき、初期投資の負担を軽くする手段として補助金は有力な選択肢です。なかでも「ものづくり補助金」は設備投資を支援する代表的な制度として知られていますが、2026年度に大きな制度変更を迎えています。制度の最新状況を正しく押さえたうえで申請を進めることが、採択への第一歩です。
監修者

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO
名古屋工業大学 共同研究員
山中典(やまなか つかさ)
この記事では、ものづくり補助金の制度概要と2026年度の後継制度への統合、グランピング新事業での活用可否、申請の進め方を整理します。あわせて、補助金の採択から開業までのリードタイムを短縮しやすい構築物として、設営が短時間で完了するインスタントハウスの活用も紹介します。
ものづくり補助金とは|2026年度の制度変更に注意
ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。中小企業・小規模事業者が、生産性向上に資する革新的な新製品・新サービスの開発や海外需要開拓を行うために必要な設備投資を支援する制度として、2012年から続いてきました。製造業に限らず、商業・サービス業など幅広い業種が対象になります。
2026年度に「新事業進出・ものづくり補助金」へ統合
新事業を検討するうえで最も重要な変更点が、制度の統合です。中小企業庁の令和7年度補正予算で、2026年度(令和8年度)から「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」が統合され、「新事業進出・ものづくり補助金」となることが発表されました。従来のものづくり補助金は第23次公募(申請締切2026年5月8日)が最後とされており、これから新たに申請を検討する場合は、後継制度の動向を確認する必要があります。
統合後の詳細な要件や申請方法は、2026年度の公募開始時に公表される予定です。最新情報は中小企業庁やものづくり補助金総合サイトで必ず確認してください。
参照元:中小企業経営支援事務所「ものづくり補助金23次公募の要件解説」 / 補助金ポータル「ものづくり補助金とは?制度概要や条件」
統合前の制度の基本スペック
後継制度の詳細が公表されるまでの参考として、従来のものづくり補助金(第23次公募時点)の基本的な枠組みを整理しておきます。後継制度では変更される可能性があるため、あくまで参考としてご覧ください。
| 項目 | 内容(第23次公募時点) |
|---|---|
| 補助上限額 | 4,000万円(枠による) |
| 対象経費(必須) | 機械装置・システム構築費(単価50万円以上) |
| その他の対象経費 | 技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 |
| 主な目的 | 革新的な新製品・新サービスの開発、海外需要開拓 |
| 申請に必要なもの | GビズIDプライムアカウント、事業計画書 |
参照元:補助金ポータル「ものづくり補助金とは?制度概要や条件」
グランピング新事業にものづくり補助金は使えるのか
結論から言うと、ものづくり補助金は宿泊業も対象業種に含まれますが、「グランピング施設を建てるための費用」をそのまま補助してもらえるわけではありません。制度の趣旨を理解して、補助対象になる使い方を組み立てることが重要です。
「革新的な新製品・新サービス開発」が前提
プランベースの解説によると、ものづくり補助金は宿泊業(旅館業)も対象になりますが、既存の建物の改修費には使えず、あくまで新事業のために新たに行った工事や購入した機械が対象になるとされています。つまり、単に宿泊施設を購入・設置するだけでなく、「新しいサービスや体験価値を生み出す事業」として計画を組み立てる必要があります。
たとえば、地域資源を活かした体験型の宿泊サービスの開発、これまでにない設備を組み合わせた新しい滞在スタイルの提供など、「革新性」を打ち出せるかが採択のポイントになります。
参照元:プランベース「宿泊業はものづくり補助金の対象になる!」
対象外になる事業に注意
公募要領では、補助対象外となる事業も明記されています。グランピング新事業を計画する際は、これらに該当しないよう注意が必要です。
- 実質的に労働を伴わない事業や、資産運用的性格の強い事業
- 購入した設備を自ら事業に使わず、特定の第三者に長期間貸与するような事業
- 同業他社で既に広く普及している製品・サービスの開発にとどまるもの
自ら運営せず他者に貸し出すだけの物件投資型の計画は対象外とされています。グランピング施設を自社で運営し、新しいサービスを提供する事業として計画することが前提になります。
参照元:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 総合サイト(公募要領)
グランピングと相性のよい他の補助金も検討する
グランピング新事業では、ものづくり補助金以外の制度のほうが適しているケースもあります。複数の制度を比較して、自社の計画に合うものを選びましょう。
| 制度 | 主な目的 | グランピングとの相性 |
|---|---|---|
| 新事業進出・ものづくり補助金 | 新製品・新サービス開発、新市場・高付加価値事業への進出 | 新規参入・差別化を打ち出せれば対象になりうる |
| 小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者の販路開拓・施設改装 | 従業員20人以下の小規模施設向け |
| 中小企業省力化投資補助金 | 人手不足解消のための省力化設備導入 | 自動チェックイン機などの導入に |
| IT導入補助金 | 予約システムなどITツール導入 | 予約・顧客管理のDXに |
| 自治体の観光・創業系補助金 | 地域の観光振興・創業支援 | 地域連携を打ち出す事業に |
新事業進出補助金は、新市場・高付加価値事業への進出を支援する制度で、グランピングのような新規事業との相性がよいとされています。後継の「新事業進出・ものづくり補助金」でも、新規参入や差別化を明確に打ち出せれば対象になりうると考えられます。ただし人気事業ゆえに差別化が必須とされているため、事業計画の作り込みが重要です。
参照元:補助金ポータル「ものづくり補助金とは?制度概要や条件」
補助金申請から事業開始までの進め方
補助金を活用してグランピング新事業を始める場合、申請から入金までの流れと、その間の資金繰りを理解しておくことが欠かせません。多くの補助金に共通する基本的な進め方を整理します。
電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必要で、発行に2〜3週間程度かかる場合があります。直前の申請では締切に間に合わないおそれがあるため、早めに取得しておきましょう。あわせて、革新性・市場性・収益性を示す事業計画書を作り込みます。
公募要領を確認し、締切までに電子申請を完了します。締切時刻を1秒でも過ぎると受理されないため、余裕をもって申請しましょう。
審査を経て採択結果が公表されます。口頭審査が行われる場合もあるため、事業計画の内容を自分の言葉で説明できるよう準備しておきます。
採択後に交付申請を行い、交付決定を受けてから発注・事業を実施します。採択前や交付決定前に発注・支払いをすると対象外になりやすいため、手順の順番を崩さないことが重要です。
事業完了後に実績報告を行い、確定検査を経て補助金が支払われます。補助金は原則後払いのため、まず自己資金や融資で立て替える資金繰りの設計が必要です。
参照元:プランベース「宿泊業はものづくり補助金の対象になる!」 / 中小企業経営支援事務所「ものづくり補助金23次公募の要件解説」
- 採択前・交付決定前の発注や支払いは補助対象外になりやすい
- 補助金は後払いのため、立て替え資金の確保が前提になる
- 申請しても必ず採択されるとは限らないため、不採択時の資金計画も用意する
採択後のリードタイムを短縮する|インスタントハウスの活用
補助金を活用したグランピング新事業では、「採択→交付決定→発注→事業実施→実績報告」という流れの中で、いかに早く施設を立ち上げて稼働を始められるかが、機会損失を減らすうえで重要になります。ここで構築物の設営スピードが効いてきます。
インスタントハウスは、LIFULLと名古屋工業大学大学院の共同研究から生まれたドーム型の構築物です。設営開始から完了まで最短数時間(約6時間)で利用を開始できる設計のため、交付決定後の発注から開業までのリードタイムを短くしやすく、補助事業の実施期間内に確実に事業を立ち上げたい場合に向いています。

- 設営は最短数時間(約6時間)……補助事業の実施期間内に開業しやすく、機会損失を減らせる
- 基礎工事不要・ペグやビスで固定……造成を最小限に抑え、工事の段取りや工期のブレを減らせる
- 建築確認申請が原則不要(行政判断による)……手続きの負担を抑えつつ事業を立ち上げやすい
- 断熱材を360°に使用……外気温の影響を受けにくく、通年での運用に対応しやすい
本体価格に設営費が含まれているわかりやすい価格設定で、サイズを調整することも可能です。特注仕様の場合は製作期間が別途必要となります。事業計画書を作成する際は、こうした設営スピードや手続きの軽さを「実現可能性の高さ」として示すことで、計画の説得力を高める材料にもなります。
断熱材の発泡ウレタンを用いた独自の構造により、高い断熱性能と熱循環効率を実現した新しいサウナであるインスタントサウナは、100V電源で運用可能な電気サウナストーブを採用しており電気工事が不要です。インスタントハウスと組み合わせれば、サウナ付きグランピングという差別化要素を打ち出しやすく、事業の革新性を示す一助にもなります。

ものづくり補助金とグランピング新事業に関するよくある質問
- ものづくり補助金は今も申請できますか?
-
従来のものづくり補助金は第23次公募(申請締切2026年5月8日)が最後とされ、2026年度からは「新事業進出補助金」と統合された「新事業進出・ものづくり補助金」へ移行する予定です。これから申請を検討する場合は、後継制度の公募情報を中小企業庁やものづくり補助金総合サイトで確認してください。
- ものづくり補助金でグランピング施設を建てられますか?
-
宿泊業は対象業種に含まれますが、施設を建てる費用をそのまま補助してもらえるわけではありません。既存建物の改修費には使えず、あくまで新事業のために新たに購入した機械や行った工事が対象です。革新的な新サービスの開発という枠組みで、設備投資として計画を組み立てる必要があります。
- グランピングに向いている補助金は他にありますか?
-
新規参入や高付加価値事業への進出を支援する新事業進出補助金(後継の新事業進出・ものづくり補助金)は、グランピングのような新規事業と相性がよいとされています。そのほか、小規模事業者持続化補助金、中小企業省力化投資補助金、IT導入補助金、自治体の観光・創業系補助金なども選択肢になります。自社の事業内容に合うものを比較しましょう。
- 補助金はいつ受け取れますか?
-
補助金は原則として後払いです。採択後に交付決定を受け、発注・事業実施・実績報告・確定検査を経てから支払われます。そのため、まず自己資金や融資で立て替える資金繰りの設計が前提になります。採択前や交付決定前の発注・支払いは対象外になりやすい点にも注意してください。
- 採択されやすい事業計画のポイントは?
-
革新性・市場性・収益性を論理的に示すことが重要です。グランピングは人気の事業ジャンルのため、「誰向けで何が特別か」という差別化を明確にする必要があります。地域資源の活用や体験価値、運営の実現性、数字の根拠をそろえた計画にすると説得力が高まります。設営が短時間で済む構築物を使うなど、実現可能性の高さを示すことも有効です。
まとめ
- ものづくり補助金は2026年度から「新事業進出・ものづくり補助金」へ統合される予定で、最新の公募情報の確認が必須
- 宿泊業も対象だが、施設購入費そのものではなく「革新的な新サービス開発」の設備投資として計画を組み立てる
- 第三者への長期貸与や資産運用的な事業は対象外。自社運営が前提
- 補助金は後払いのため、立て替え資金の確保と、採択前発注を避ける手順管理が重要
- 設営が最短数時間のインスタントハウスは、採択後のリードタイム短縮と計画の実現可能性アピールに役立つ
ものづくり補助金は、グランピングのような新事業の設備投資を後押しする有力な制度ですが、2026年度の制度統合や補助対象の考え方を正しく理解したうえで申請を進めることが大切です。施設を建てる費用をそのまま補助するのではなく、「革新的な新サービスの開発」という枠組みで計画を組み立てる視点が欠かせません。
あわせて、補助金は後払いで採択前の発注が対象外になりやすいため、資金繰りと手順管理にも注意が必要です。採択後のリードタイムを短縮したい場合は、設営が最短数時間で完了するインスタントハウスのような構築物も選択肢に加え、最新の公募情報を確認しながら計画を進めてみてください。




