観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業にインスタントハウスが最適な理由

インバウンド観光客の増加にともない、東京・京都・大阪など一部の人気エリアに観光客が集中するオーバーツーリズムが各地で課題になっています。その解消策として観光庁が打ち出したのが「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業」です。地域の観光資源を磨き上げ、訪日客を地方へ分散させる取り組みを後押しする補助事業として注目されています。

監修者

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO
名古屋工業大学 共同研究員
山中典(やまなか つかさ)

この記事では、この事業の概要と補助対象をわかりやすく整理したうえで、地域の観光コンテンツづくりにインスタントハウスをどう活かせるか、活用のアイデアを紹介します。補助金の申請を検討している地域事業者やDMO、宿泊事業者の方に向けて、観光コンテンツの企画を考えるヒントを提供します。
はじめに(重要なご注意)

本記事は制度の概要と観光コンテンツづくりのアイデアを紹介するものです。補助対象になるかどうかは、申請する類型や事業内容によって個別に判断されます。具体的な経費が補助対象に含まれるかは、必ず事業の事務局や認定支援機関・専門家にご確認ください。公募内容は年度により変わる可能性があるため、最新の公募要領も合わせてご確認ください。

目次

観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業とは

この事業は、観光による経済効果を全国に波及させ、持続的な地方誘客によってオーバーツーリズムの解消につなげることを目的とした観光庁の補助事業です。インバウンドの需要分散に資する観光コンテンツの供給を促進するため、地方公共団体・DMO・民間事業者などによる観光コンテンツの造成、情報発信、販路開拓などを総合的に支援します。

品質を高めた高単価な観光コンテンツや、地域産業への波及効果が期待できるガストロノミー分野の観光コンテンツの造成などが重点的に支援されるのも特徴です。単なる集客ではなく、「地域に滞在し、体験し、消費してもらう」コト消費を生み出すことが事業の軸になっています。

参照元:観光庁「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業の公募開始のお知らせ」

事業の3つの類型と補助額

この事業には、取り組みの段階や内容に応じた3つの類型が設けられています。それぞれ補助の上限や対象が異なります。

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類型内容補助の枠組み
新創出型地域資源を活用した観光コンテンツのアイデアをもとに、インバウンド向けの造成に新たに取り組む事業400万円まで定額、超過分は事業費2,100万円まで補助1/2(最低事業費600万円)
分野特化型(ガストロノミー)ガストロノミーツーリズムの分野でインバウンド向けコンテンツの造成に取り組む事業400万円まで定額、超過分は事業費2,500万円まで補助1/2(最低事業費600万円)
品質向上型既存の観光コンテンツを改善し、より高単価なインバウンド向けコンテンツの供給を目指す事業800万円まで定額、超過分は事業費4,200万円まで補助1/2(最低事業費1,200万円)

補助対象は地方公共団体・DMO・民間事業者などです。事業実施にあたっては、交付決定前には事業に着手できない点に注意が必要です。スケジュールに余裕を持って準備を進めることが、採択と事業成功の鍵になります。

参照元:京都観光アカデミー「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業」 / 補助金ポータル「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業」

補助対象となる主な経費

補助対象経費は、大きく次の3つの項目に分類されます。

  • 観光コンテンツの造成に係る経費……旅行商品の企画開発、協議会の開催、専門家からの意見聴取、インバウンド向けガイドの確保・育成、モニターツアーの開催、二次交通や宿泊施設の確保など
  • 販路基盤整備・情報発信に係る経費……SNS運用、広告、情報発信用の写真・動画素材の作成、自社サイト作成、OTA掲載、販路開拓など
  • 備品の購入・設備の導入に係る経費……観光コンテンツの造成等に必要となる備品の購入や設備の導入など(真に必要不可欠で、事業終了後の自立的な事業継続に必要なものに限る)

このうち品質向上型では、観光コンテンツの造成に係る経費を事業費の50%以上とする必要があるとされています。つまりこの事業の中心は「体験・サービスとしての観光コンテンツづくり」にあり、備品・設備はそのコンテンツを成り立たせるために必要な範囲で対象になる、という位置づけです。

参照元:補助金クラウドMag.「令和8年度 観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業(品質向上型)」

補助対象の判断は必ず確認を

備品・設備が補助対象に含まれるかどうかは、「観光コンテンツの造成等に必要」「真に必要不可欠で事業継続に必要」といった要件を満たすかで個別に判断されます。特定の構築物や設備が補助対象になると一律に断定できるものではありません。導入を前提に申請を検討する場合は、必ず事業の事務局や認定支援機関・専門家に対象可否を確認してください。

観光コンテンツづくりにインスタントハウスを活かすアイデア

この事業の主役は、訪日客に「その地域でしか味わえない体験」を提供する観光コンテンツです。インスタントハウスは、そうした体験コンテンツの拠点や舞台として活用できる可能性があります。ここでは、補助対象の可否とは切り離して、観光コンテンツの企画を考えるうえでのアイデアを紹介します。

インスタントハウスは、LIFULLと名古屋工業大学大学院の共同研究から生まれたドーム型の構築物で、法的に「工作物」として扱われます。建築確認申請が原則不要とされ(行政判断による)、基礎工事不要でペグやビスで固定し、設営は数時間(約6時間)で完了します。断熱材を360°に使用しているため外気温の影響を受けにくく、通年での運用にも対応しやすいのが特徴です。

アイデア1.地域資源を体験する滞在拠点として

この事業では、地域への滞在を促す体験コンテンツが重視されています。里山・農村・漁村・離島など、これまで宿泊拠点が少なかったエリアにインスタントハウスを設置すれば、地域資源をじっくり体験してもらう滞在拠点になるでしょう。アクセスの良い人気観光地から少し離れた場所に滞在の選択肢を作ることは、需要分散という事業の趣旨とも親和性があります。

アイデア2.高単価なインバウンド向け体験の舞台として

事業では、品質を高めた高単価なインバウンド向けコンテンツが重点的に支援されています。ドーム型の特徴的な空間は、それ自体が非日常感を演出する舞台になるでしょう。地域の食材を味わうプライベートダイニング、星空観賞、ウェルネス体験などと組み合わせれば、単価の高い特別な体験コンテンツを設計しやすくなります。

アイデア3.ガストロノミーツーリズムの食事空間として

分野特化型として支援されるガストロノミーツーリズムは、地域の食を主役にした観光です。断熱材の発泡ウレタンを用いた独自の構造により、高い断熱性能と熱循環効率を実現した新しいサウナであるインスタントサウナと組み合わせれば、「地域の食×サウナ×自然」といった複合的な体験コンテンツも構想できます。畑や漁港のそばに食事空間を設け、生産者との交流を組み込むなど、地域産業への波及効果を意識した企画にもつなげやすくなります。

アイデア4.季節・イベントに合わせた可変的な拠点として

需要分散は「場所」だけでなく「時期」の分散も含む考え方です。インスタントハウスは設営が数時間で、動産として扱われるのが一般的なため、撤去や移設の柔軟性も持ち合わせています。閑散期のイベント会場や、季節限定の体験コンテンツの拠点として、時期に合わせて設置・運用するといった可変的な使い方も考えられます。

アイデアと補助対象は分けて考える

ここで挙げたのは、あくまで観光コンテンツの企画を考えるためのアイデアです。これらの取り組みやインスタントハウスの導入費用がこの事業の補助対象になるかどうかは、申請類型や事業内容によって個別に判断されます。実際の申請にあたっては、観光コンテンツの造成という事業の趣旨に沿った計画を立てたうえで、対象経費の範囲を必ず事務局や専門家に確認してください。

観光コンテンツの拠点としてインスタントハウスが向いている点

補助対象の可否とは別に、観光コンテンツの拠点づくりという観点で見たとき、インスタントハウスにはいくつかの向いている点があります。

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観光コンテンツづくりの課題インスタントハウスの特徴
地方・郊外で拠点を素早く用意したい設営は数時間(約6時間)。短期間で体験の場を立ち上げられる
手続きの負担を抑えたい工作物として扱われ、建築確認申請が原則不要(行政判断による)
造成コストを抑えたい基礎工事不要・ペグやビスで固定。土地への負担も小さい
通年で体験を提供したい断熱材を360°に使用し、外気温の影響を受けにくい
季節やイベントに合わせて運用したい動産として扱われるのが一般的で、撤去・移設の柔軟性がある

本体価格に設営費が含まれているわかりやすい価格設定で、サイズを調整することも可能です。特注仕様の場合は製作期間が別途必要となります。観光コンテンツの拠点を、低い初期負担と短い準備期間で用意したい場合に検討しやすい選択肢といえます。

この事業とインスタントハウスに関するよくある質問

この事業はどんな取り組みを支援するものですか?

インバウンドの需要分散に資する観光コンテンツの造成、情報発信、販路開拓などを総合的に支援する観光庁の事業です。オーバーツーリズムの解消と観光消費の地方への波及を目的としており、地域に滞在して体験するコト消費を生み出す取り組みが対象になります。地方公共団体・DMO・民間事業者などが補助対象です。

インスタントハウスの導入費用はこの事業の補助対象になりますか?

補助対象になるかどうかは、申請する類型や事業内容によって個別に判断されます。この事業は観光コンテンツの造成が中心で、備品・設備は「コンテンツの造成等に必要」「真に必要不可欠で事業継続に必要」な範囲で対象とされています。特定の構築物が一律に対象になると断定はできないため、必ず事業の事務局や認定支援機関・専門家に確認してください。

補助額はどのくらいですか?

類型によって異なります。新創出型は400万円まで定額・超過分は事業費2,100万円まで補助1/2、分野特化型(ガストロノミー)は400万円まで定額・超過分は事業費2,500万円まで補助1/2、品質向上型は800万円まで定額・超過分は事業費4,200万円まで補助1/2とされています。最低事業費の条件もあるため、公募要領で詳細を確認してください。

観光コンテンツの拠点にインスタントハウスを使うメリットは?

設営が数時間(約6時間)と短く、工作物として扱われ建築確認申請が原則不要(行政判断による)で、基礎工事も不要です。断熱材を360°に使用しているため通年運用にも対応しやすく、地方や郊外で体験の拠点を素早く・低い初期負担で用意したい場合に向いています。動産として扱われるのが一般的で、季節やイベントに合わせた可変的な運用もしやすい点も特徴です。

申請にあたって最初にすべきことは何ですか?

まずは最新の公募要領を確認し、自分の取り組みがどの類型に当てはまるかを整理することです。そのうえで、観光コンテンツの造成という事業の趣旨に沿った事業計画を立てます。経費が補助対象に含まれるかの判断や申請手続きについては、事業の事務局や認定支援機関・専門家に早めに相談することをおすすめします。交付決定前は事業に着手できない点にも注意してください。

まとめ

この記事のポイント
  • 「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業」は、インバウンドの需要分散に資する観光コンテンツの造成・情報発信・販路開拓を支援する観光庁の事業
  • 類型は新創出型・分野特化型(ガストロノミー)・品質向上型の3つ。事業の中心は体験・サービスとしての観光コンテンツづくり
  • インスタントハウスは、地域資源の体験拠点・高単価体験の舞台・ガストロノミーの食事空間などの観光コンテンツづくりに活かせる可能性がある
  • 建築確認原則不要・基礎工事不要・設営数時間・通年運用といった特徴が、地方での拠点づくりと相性がよい
  • 導入費用が補助対象になるかは類型・事業内容により個別判断。必ず事務局や専門家に確認する

オーバーツーリズムの解消と地方への需要分散は、これからの日本の観光にとって重要なテーマです。「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業」は、地域が自らの資源を磨き、訪日客に選ばれる体験コンテンツを生み出すことを後押しする事業です。

インスタントハウスは、そうした観光コンテンツの拠点や舞台として活用できる可能性のある構築物です。地方や郊外でも短期間・低い初期負担で体験の場を用意でき、通年運用や柔軟な移設にも対応しやすいという特徴があります。補助金の活用を検討する際は、まず観光コンテンツの企画を事業の趣旨に沿って固め、対象経費の範囲は事務局や専門家に確認しながら、地域に合った計画づくりを進めてみてください。

監修者

山中典(やまなか つかさ)

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO/名古屋工業大学共同研究員。インスタントハウスの開発・事業を軸に、災害支援から多様な空間活用まで幅広く展開している。

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