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インスタントハウスは建築基準法の対象外?固定資産税・耐用年数・法的メリットを徹底解説

「好きな場所で暮らしたい」「災害時でもすぐに住める空間を」
そんな新しい住まい方を叶えるのが、名古屋工業大学発の「インスタントハウス」です。

原則として建築確認が不要で、設営はわずか数時間。しかも固定資産税や都市計画税もかかりません。
一方で「本当に建築基準法の対象外なの?」「耐用年数は?」「移動は簡単なの?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、販売元である株式会社LIFULL ArchiTechの視点から、インスタントハウスの法的位置づけ、税制、耐用性、そして実際の運用までを詳しく解説します。

目次

インスタントハウスとは?

インスタントハウスは、2011年3月東日本大震災での被災地支援をきっかけに、名古屋工業大学大学院・北川啓介教授が発明した新しい構築物です。

インスタントハウスの特徴は、次の通りです。

設営時間
数時間(約6時間(分割して移設可能な「パージ型」は約1.5日)

設営方法
空気で膨らませたテント生地に硬質ポリウレタン断熱材を吹付け、形を形成。

使用用途
使用される方のニーズに応じて、様々な使い方をされています。
公共用途:道の駅休憩室、公営宿泊施設、中学校クラブ活動拠点、災害訓練
事業用途:グランピングの宿泊室、飲食店の個室ブース、住宅展示場の商談室、時間貸スペース(トレーニングジム、音楽室)、防災備蓄倉庫、ペットホテル、動物小屋、イベントスペース、野菜栽培室など
個人用途:被災地簡易住宅、趣味の部屋(カラオケ室、秘密基地)など
被災地用途:救援者・医療従事者・宿泊所、地域住民の寄合所、被災者の簡易住宅など

空気で膨らませて数時間で完成する構造

  1. テント生地を地面に固定して空気を送り込み、ドーム形状に膨らませる。
  2. 内側から硬質ウレタンフォームを吹き付け、外膜と一体化させる。
  3. わずか数時間で高断熱・高気密の空間が完成。

風速80m/sに耐え、震度6強の地震でも崩壊しない性能を持ちます。

従来の建築物との違い

一般的な建物はコンクリートなどで地面に基礎を作り、その上に強固な建物を緊結して建築します。このため、土地に定着している「建築物」となります。一方でインスタントハウスは、基礎は作らず地面に直接置くことができ、また、重量は200㎏程度と軽く、随時かつ適宜必要な時に、人力で容易に移動することができます。このため、建築確認申請を要する“建築物”に該当しません。
※自治体など行政によって見解が異なる場合があります。

株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

「インスタントハウスは、“建てる”という行為をより自由にする新しい技術です。従来の常識を変える設営スピードと環境適応性をぜひ体験してください。」

建築基準法との関係|なぜ「建築物扱いにならない」のか

建築確認が不要な理由

インスタントハウスは、土地に定着しない構造を採用しているため、建築基準法の適用対象外です。
建築物ではないため、確認申請が不要です。都市計画区域や用途地域にも左右されません。

一般的な建築物と比較すると次のようになります。

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項目一般的な建築物インスタントハウスインスタントハウスの解説
土地への定着コンクリート基礎などで土地にしっかり固定されるペグやボルトで一時的に固定するが、土地には恒久的に定着しない建築基準法では「土地に定着しているか」が建築物の判断基準のひとつです。インスタントハウスは移動可能な構造のため、建築物に該当しないと判断されるケースが多いです。(※最終判断は各自治体による)
建築確認申請必要
(建築基準法第6条による)
不要建築物ではないため、確認申請不要とされています。(※行政判断によって見解が異なる場合があります)
都市計画区域の制限用途地域・建ぺい率・容積率などの制限を受ける制限を受けないケースが多い(※一部自治体は確認が必要)市街化調整区域や国定公園内など、通常は建築できないエリアにも設営した実績もあります。当社にて、設営前に自治体へ確認を行います。
移設・撤去固定構造のため、基本的に移動はできない容易に移動が可能近い距離なら人力で、パージ型なら分割して離れた場所での再設営も可能です。
建築コスト設計・確認申請・基礎工事など工程が多く、費用大設営費中心で完結。シンプルな設営工程と少ない素材でコストを合理化。附帯費用も少なく、導入コストの削減につながります。
設営時間数週間〜数ヶ月数時間(パージ型でも1.5日程度)短期間で空間を構築できるため、納期の短い事業用途や、災害時イベント利用にも適しています。
用途の自由度建築基準法上の用途制限を受ける比較的自由度が高い(住宅・宿泊・防災・店舗など)「建築物ではない」ことで多目的利用がしやすく、被災地・グランピング・移動店舗など幅広く活用できます。

※「建築物に該当するかどうか」は最終的に自治体の判断によります。個別案件ごとに確認が必要です。

株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

「建築物ではないという法的特徴が、インスタントハウスの自由度を生んでいます。ただし、設営地域の行政判断も尊重し、安全性と合法性を両立しています。」

固定資産税・都市計画税が不要な理由

不動産ではなく“動産扱い”

インスタントハウスは土地に定着しない構築物であることから、
税法上は“動産”として扱われるのが一般的です。

そのため、通常の建物に課税されるような

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 不動産取得税

といった税負担は発生しません。

※事業用として設置する場合、償却資産税の対象となるケースがあります。具体的な取り扱いは税理士や自治体への確認をおすすめします。

附帯コストの比較

一般的な建築物に比べ、設計料や申請費用が不要なため、初期導入コストを大幅に削減できます。

一般的な建物とインスタントハウスのコスト比較表

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項目一般的な建物インスタントハウスインスタントハウスの解説
建築確認申請費用約10〜30万円不要建築基準法に基づく確認申請が不要なため、設計士・行政書士への手続き費用が発生しません。
設計監理費数十万円〜(建築費の5〜10%が目安)不要通常の建築では構造・設備・意匠の監理を行う設計士の費用が必要ですが、インスタントハウスは既成仕様として提供するため、こうした費用がかかりません。
固定資産税毎年発生不要(動産扱い)土地に定着した不動産ではないため、固定資産税の対象外となります。
解体費用数十万円〜0円~30万円程度インスタントハウスはご自身で解体することも可能です。個人利用であれば燃えるゴミ、事業利用であれば、サーマルリサイクルまたは産廃処分費用がかかります。
株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

事業利用する場合、償却資産税の対象となる場合があります。導入前には税理士や自治体へ確認することをおすすめします。

耐用年数と耐久性の考え方

現状の耐用年数と構造的特徴

インスタントハウスは新しい技術であるため、
「何年持つのか」という正式な耐用年数は、実証データを蓄積しながら検証を進めている段階です。

ただし、使用している素材は国産の防炎テント生地と硬質ウレタンフォームであり、
高い耐候性と断熱性を備えています。

素材と構造

  • 外膜
    防炎ポリエステル生地(一般的なテント倉庫で使用されている建築用テント生地)
  • 断熱材
    硬質ポリウレタンフォーム
  • 屋根
    45°傾斜設計(積雪40cm対応)※積雪使用は60㎝
  • 換気
    重力換気システム(常時換気)

結露・カビ対策

壁・天井が断熱材そのもので構成されており、
室内側で結露しにくく、カビも発生しにくい構造です。

重力換気によって常に新鮮な空気を循環させることで、
湿気をため込みにくい室内環境を維持できるよう設計されています。

メンテナンスと保証

基本的にメンテナンスフリーです。購入後1年間の製品保証があります。破損箇所の補修キット提供や再吹付けサービスにも対応しています。

株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

“仮設では終わらない品質”を目指しています。外幕のテント素材や断熱構造は、長期利用にも耐えられるようなものを採用しています。

人力・トラック・ドローン搬送まで対応

インスタントハウスは軽量構造のため、重機を一切使わず移動、分解、再設置が可能です。短距離であれば人力でも運搬移動可能です。
分割型(パージタイプ)を選ぶと、トラックで運搬して別の場所に再設営することもできます。

移動・再設営の流れ

  1. パーツに分解しトラックへ積み込み(約1時間)
  2. トラックで新設地へ搬送
  3. パーツを組み合わせて再設営完了(約3時間)

搬送方法別の目安

  • 人力(短距離)…約30分(台車運搬:3人、人力運搬:8~12人)
  • トラック運搬…約6時間(3〜6人)

特殊な工具や重機を一切使わず、全て人力で移設できることから、物資が少ない被災地でも柔軟に対応することができます。

インスタントハウスのメリット・デメリット

インスタントハウスのメリット・デメリット・対応策一覧

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項目メリットデメリット対応策・補足解説
建築法・税制面原則として建築確認申請が不要で、固定資産税・都市計画税などの税負担がゼロ。なし設営前に当社から設営地の自治体へ建築物に該当しないことの確認を行います。
性能面高断熱・高耐震・高耐風性能により、夏は涼しく冬は暖かい快適空間を実現。新技術であるため、正式な耐用年数がまだ算定中。今後も実証実験による耐用試験のデータ蓄積を進め、より具体的な年数目安を提示していきます。
設備・設営面設営がわずか数時間で完了し、移動・再設営も容易。外部給排水への接続が難しく、水回り(トイレ・ユニットバス)に制約あり。仮設トイレ、水回りのみのコンパクトトレーラーハウスなどの組み合わせにより機能拡張が可能。防災拠点・宿泊施設・商業用途など、多様なシーンに合わせてプランニングします。
株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

私たちは“課題を楽しみながら進化する”姿勢で開発しています。
法制度・耐用年数・設備面など、これからも改良を続けていきます。

まとめ|“建てる”から“設える”へ

インスタントハウスは、建築基準法や税の枠組みを超えた「自由な空間」です。
固定資産税も不要で、わずか数時間で設営が完了。必要に応じて移設も可能。

空間=建築物という既存の価値観とらわれずこれまで不可能だった場所に新しい活動の場を生み出すことができます。

株式会社 LIFULL ArchiTech  取締役COO 山中 典

“建てる”から“設える”へ。
私たちは、場所に縛られない新しい暮らし方を提案し続けます。
インスタントハウスが、人と地域をつなぐ新しいライフスタイルの起点になることを願っています。

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