新事業進出補助金で始める新規事業にインスタントハウスという選択肢|低コストで立ち上げやすい理由

新しい事業に挑戦したいけれど、初期投資の大きさがネックになって踏み出せない。そんな中小企業経営者にとって、国の「新事業進出補助金」は心強い後押しになります。さらに、補助金で立ち上げる新規事業の施設にインスタントハウスを選べば、初期投資そのものを抑えられるため、補助金との相性がよい選択肢になります。

監修者

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO
名古屋工業大学 共同研究員
山中典(やまなか つかさ)

この記事では、新事業進出補助金の概要と対象経費を整理したうえで、なぜインスタントハウスが新規事業の立ち上げに向いているのかを解説します。補助金を活用して低リスクで新事業に踏み出すための判断材料を提供します。
目次

新事業進出補助金とは

新事業進出補助金(中小企業新事業進出補助金)は、既存事業で培ったノウハウを活かしながら、新たな市場や高付加価値分野への進出を目指す中小企業を支援する制度です。令和7年度から始まった制度で、事業再構築補助金の後継にあたります。製造業をはじめ、卸・小売業、建設業、宿泊業、飲食業など幅広い業種で活用されています。

新市場への進出に必要な設備投資等の費用の一部を支援する制度で、申請には「新事業進出」の定義を満たすことに加えて、従業員に対する一定の賃上げの実施が求められます。

参照元:補助金ポータル「新事業進出補助金【2026年】第4回公募スケジュール・実際の活用事例も紹介」 / 中小企業庁 ミラサポplus「新事業進出補助金」

制度統合の予定に注意

新事業進出補助金は、2026年度中にものづくり補助金と一本化され、「新事業進出・ものづくり補助金」として公募される予定とされています。現行制度としての公募は第4回が最終回となる見込みです。申請を検討する場合は、公募スケジュールと最新情報を必ず公式サイトで確認してください。

補助額・補助率と対象経費

新事業進出補助金は、補助額の大きさが特徴の制度です。補助率と補助上限額、対象となる経費を確認しましょう。

補助率と補助上限額

補助率は対象経費の1/2で、地域別最低賃金引上げ特例の適用を受ける場合は2/3に引き上げられます。補助上限額は従業員数に応じて設定されており、賃上げ特例を適用するとさらに引き上げられます。

スクロールできます
従業員数補助上限(カッコ内は賃上げ特例適用時)
20人以下2,500万円(最大3,000万円)
21〜50人4,000万円(最大5,000万円)
51〜100人5,500万円(最大7,000万円)
101人以上7,000万円(最大9,000万円)

なお、補助額が750万円(補助対象経費が1,500万円未満)となる場合は補助対象外となります。下限額が設定されている点に注意が必要です。

参照元:補助金ポータル「新事業進出補助金【2026年】第4回公募スケジュール・実際の活用事例も紹介」

対象となる経費

新事業進出補助金の対象経費は、新事業進出や事業転換にかかる幅広い費用が含まれます。主な対象経費は次のとおりです。

  • 機械装置・システム構築費
  • 建物費
  • 運搬費
  • 技術導入費
  • 知的財産権等関連経費
  • 外注費・専門家経費
  • クラウドサービス利用費
  • 広告宣伝・販売促進費

重要なのは、補助対象経費には「機械装置・システム構築費」または「建物費」のいずれかが必ず含まれている必要がある点です。宿泊施設や店舗などの新規事業では、この「建物費」が補助の中心になります。

参照元:補助金ポータル「新事業進出補助金【2026年】第4回公募スケジュール・実際の活用事例も紹介」

新規事業の立ち上げにインスタントハウスが向いている理由

補助金を活用するとしても、新規事業の初期投資はできるだけ抑えたいところです。特に宿泊業・観光・飲食といった分野で新事業に進出する場合、施設の整備費が大きな負担になります。ここで選択肢になるのが、インスタントハウスです。

インスタントハウスは、2011年の東日本大震災での被災地支援をきっかけにした名古屋工業大学大学院の北川啓介教授の研究をもとに、LIFULLと名古屋工業大学大学院による共同研究にて開発した新しい構築物です。新規事業の立ち上げに向いている理由を整理します。

理由1.初期投資を抑えやすい

インスタントハウスは、本体と標準設営費込みで税込2,244,000円(シンプル43)からのラインナップが用意されています。本体価格に設営費が含まれているわかりやすい価格設定で、木造建築やコンテナハウスと比べて初期投資を抑えやすいのが特徴です。補助金の下限額(補助対象経費1,500万円)を意識しつつ、複数棟の整備や付帯設備と組み合わせて事業計画を組み立てやすくなります。

理由2.工期が短く事業開始までが早い

設営は基礎工事不要で、ペグやビスで固定し数時間(約6時間)で完了します。建築に数か月かかる木造建築と比べると、補助事業の実施期間内に施設を整えやすく、事業開始までのリードタイムを短縮できるのが強みです。補助事業には実施期間の制約があるため、短工期で立ち上げられる点は計画上の安心材料になります。

理由3.手続きの負担が比較的軽い

インスタントハウスは法的に「工作物」として扱われ、建築確認申請が原則不要とされています(行政判断による)。建築物に該当する施設と比べて手続きの負担を抑えやすく、新規事業の立ち上げをスムーズに進めやすくなります。ただし建築確認の要否は最終的に自治体が判断するため、事前協議は欠かせません。

理由4.撤退・方向転換のリスクを抑えられる

新規事業には、想定どおりに進まないリスクがつきものです。インスタントハウスは動産として扱われるのが一般的で、撤去や移設の柔軟性が高い点も特徴です。「まずは小さく始めて、手応えを見ながら拡大する」という新規事業の進め方と相性がよく、撤退・方向転換のリスクを抑えながら挑戦できます。

サウナ事業という選択肢も

断熱材の発泡ウレタンを用いた独自の構造により、高い断熱性能と熱循環効率を実現した新しいサウナであるインスタントサウナは、100V電源で運用可能な電気サウナストーブを採用しており電気工事が不要です。新規事業としてサウナ施設を立ち上げる場合の選択肢として、インスタントハウスと組み合わせた展開も検討できます。

補助金×インスタントハウスで実現できる新規事業の例

新事業進出補助金の第1回公募では、宿泊業・観光・飲食分野の新規事業も採択されています。たとえば老舗温泉旅館によるインバウンド向けの新規事業や、空き家問題を解決する宿泊体験型の不動産業など、地域資源を活かした「新市場への挑戦」が採択事例として公表されました。こうした分野では、インスタントハウスを施設整備の手段として組み合わせる発想が考えられます。

  • 既存の飲食業からグランピング・宿泊事業へ進出する
  • 農業からの多角化として観光農園や農泊事業を立ち上げる
  • 遊休地を活用してサウナ施設やドッグラン併設施設を新設する
  • 既存の宿泊業に体験型コンテンツを加えて高付加価値化する

参照元:補助金ポータル「新事業進出補助金【2026年】第4回公募スケジュール・実際の活用事例も紹介」

ただし、補助金の対象となるかどうかは「新事業進出」の定義を満たすか、事業計画が要件に合致するかによって判断されます。インスタントハウスの導入はあくまで事業を実現する手段の一つであり、補助金の採択を保証するものではありません。事業計画の妥当性が問われる点には注意が必要です。

補助金を活用する際の注意点

  • 補助金は原則として後払い(精算払い)のため、いったん自己資金や融資で立て替える必要がある
  • 「新事業進出」の定義(製品等の新規性・市場の新規性・新事業売上高要件)を満たす事業計画が必要
  • 賃上げ要件など複数の要件があり、未達の場合は補助金の返還を求められる可能性がある
  • 補助事業実施期間内に契約・納入・支払・実績報告まで完了させる必要がある
  • 建築確認や旅館業法など、補助金とは別に事業に必要な許認可の確認が必要

補助金の活用は資金面で大きな助けになりますが、要件を満たさないと採択されない、あるいは返還リスクが生じる点を理解しておくことが大切です。申請にあたっては、認定経営革新等支援機関や専門家への相談をおすすめします。

新事業進出補助金とインスタントハウスに関するよくある質問

新事業進出補助金の補助額はいくらですか?

補助率は対象経費の1/2(地域別最低賃金引上げ特例適用時は2/3)で、補助上限額は従業員数に応じて2,500万円から7,000万円(賃上げ特例適用時は最大3,000万円から9,000万円)です。ただし補助額が750万円を下回る場合は対象外となります。

インスタントハウスの導入費用は補助金の対象になりますか?

新事業進出補助金の対象経費には「建物費」や「機械装置・システム構築費」が含まれており、新規事業の施設整備費が補助対象になる可能性があります。ただし、対象になるかは事業計画が「新事業進出」の定義や要件を満たすかによって判断される点に注意が必要です。具体的な経費区分の適否は、公募要領の確認と専門家への相談をおすすめします。

なぜ新規事業にインスタントハウスが向いているのですか?

初期投資を抑えやすいこと、設営が数時間(約6時間)と短く事業開始までが早いこと、工作物として扱われ建築確認申請が原則不要(行政判断による)で手続きの負担が軽いこと、動産として撤去・移設の柔軟性が高くリスクを抑えやすいことが理由です。「小さく始めて拡大する」新規事業の進め方と相性がよい選択肢です。

補助金はいつ受け取れますか?

新事業進出補助金は原則として後払い(精算払い)です。補助事業を実施し、実績報告と確定検査を経てから補助金が交付される流れのため、事業実施中はいったん自己資金や融資で費用を立て替える必要があります。資金繰りの計画も合わせて立てておきましょう。

新事業進出補助金は今後も使えますか?

新事業進出補助金は2026年度中にものづくり補助金と一本化され、「新事業進出・ものづくり補助金」として公募される予定とされています。現行制度としての公募は第4回が最終回となる見込みです。最新の公募スケジュールや制度内容は、必ず公式サイトで確認してください。

まとめ

この記事のポイント
  • 新事業進出補助金は、中小企業の新市場進出を支援する制度で、補助率1/2・補助上限は従業員数に応じて最大9,000万円
  • 対象経費に「建物費」が含まれ、宿泊・観光・飲食などの新規事業の施設整備に活用できる可能性がある
  • インスタントハウスは初期投資を抑えやすく、短工期・手続きの軽さ・撤退の柔軟性から新規事業の立ち上げに向いている
  • 補助金は後払いで要件も多いため、事業計画の妥当性と資金繰りを踏まえ、専門家への相談を推奨
  • 制度は統合予定のため、最新の公募情報を公式サイトで確認することが重要

新事業進出補助金は、中小企業が新たな市場に挑戦するための強力な後押しになる制度です。補助金で初期投資の負担を軽減しつつ、立ち上げる施設に初期投資を抑えやすいインスタントハウスを選べば、新規事業のリスクをさらに抑えながら踏み出せます。

ただし、補助金には要件や返還リスク、後払いといった注意点があり、事業計画の妥当性が採択を左右します。制度の最新情報を公式サイトで確認し、専門家のサポートも受けながら、自社の成長戦略に合った形で活用を検討してみてください。

監修者

山中典(やまなか つかさ)

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO/名古屋工業大学共同研究員。インスタントハウスの開発・事業を軸に、災害支援から多様な空間活用まで幅広く展開している。

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