グランピング施設の稼働率・客単価を上げる方法|集客改善の実践ガイド

グランピング施設の稼働率が思うように上がらない…。冬や平日はガラガラで、繁忙期だけでは売上が安定しないんです。

グランピング施設の経営で最も多い悩みが、閑散期・平日の稼働率低下です。キャンプに近い業態である以上、季節や天候による変動は避けられません。

ただ、グランピングの稼働率を改善している施設は確実に存在します。閑散期にサウナや暖房設備を導入したり、平日に企業研修やペット同伴プランで集客したり、OTAに頼らず自社サイトとSNSで予約を獲得したり。やり方次第で、売上は大きく変わります。

監修者

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO
名古屋工業大学 共同研究員
山中典(やまなか つかさ)

この記事では、グランピング施設の売上を「稼働率」「客単価」「客室数」の3要素に分解し、それぞれの改善策を具体的に解説します。集客チャネルの最適化についても触れていますので、施設運営の見直しにお役立てください。
目次

グランピング施設の売上を構成する3つの要素

まず、グランピング施設の売上改善を考えるうえでの基本フレームを整理します。

稼働率 × 客単価 × 客室数

グランピング施設の売上は、シンプルに「稼働率 × 客単価 × 客室数」で構成されています。このうちどれか一つでも改善すれば、売上は上がります。

リゾートグランピングドットコムでは、グループ施設における売上管理の指標として「1室あたりの年間売上高が1,000万円に満たない場合は対策を実施する」という基準を設けているとのことです。この指標は、自施設の売上水準を判断する一つの参考になります。

参照元:リゾートグランピングドットコム「グランピング施設の売上アップ策」

どこから手をつけるべきか

3つの要素のうち、最も即効性が高いのは「稼働率の改善」です。空いている日を埋めるだけで、追加投資なしに売上が増えるからです。次に取り組みやすいのが「客単価の改善」で、既存の宿泊プランにサービスを付加する形で実現できます。「客室数の増加」は設備投資が必要ですが、稼働率と客単価がすでに高い施設にとっては売上の天井を引き上げる有効な手段です。

まずは「空いている日を埋める」から

繁忙期の稼働率がすでに高い施設であれば、改善余地があるのは閑散期と平日です。まずは「どの時期・曜日に空室が多いか」を把握し、そこに集中して施策を打つのが効率的です。

グランピングの稼働率を上げる方法(閑散期・平日対策)

グランピング施設は、キャンプに近い業態であるため繁忙期と閑散期が明確に分かれます。Dot Homesによると、冬場に稼働が落ち込む傾向にあるため、冬だからこそ楽しめるコンテンツを盛り込むことで稼働を改善できるとされています。

参照元:Dot Homes「グランピング事業でよくある課題4選」

冬・閑散期の集客(サウナ・暖房設備・焚き火コンテンツ)

冬場の稼働率改善で効果が見込めるのが、「寒い季節だからこそ楽しめる体験」の提供です。Dot Homesでは、冬場の具体的な対策として温泉施設の併設、サウナ、焚き火といったコンテンツの導入を挙げています。

特にサウナは、ホテル・旅館利益向上プロジェクトによると「天候や季節に左右されないサウナを導入することで、閑散期でも安定した集客を期待できる」とされており、冬場の弱点を補うコンテンツとして有効です。

参照元:ホテル・旅館利益向上プロジェクト「サウナ導入で売上向上!グランピング施設における導入メリットと手順を解説」

暖房設備の充実も重要です。こたつやストーブなどの暖房器具を完備し、悪天候でも快適に過ごせる環境を整えることで、閑散期限定プランの訴求力が高まります。断熱性に優れた宿泊施設を採用すれば、暖房コストを抑えながら冬季営業が可能になります。

平日集客(企業研修・ワーケーション・ペット同伴)

平日の稼働率を上げるには、個人旅行者以外の客層を取り込む施策が有効です。

グランプレスでは、企業向けアウトドア研修の受け入れを「キャンプ場の平日稼働率を大幅アップさせる方法」として紹介しています。チームビルディングや新人研修をグランピング施設で行う企業研修は、今後の市場拡大が予測される分野とされています。

参照元:グランプレス「キャンプ場の稼働率を大幅アップさせる方法|企業研修や新人研修に選ばれるプランはコレ」

リゾートグランピングドットコムでは、ペット同伴OKの在庫設定も効果的な施策として挙げています。犬同伴が可能なグランピング施設はまだ供給が少なく、PRがうまくいけばかなりの高稼働が見込めるとのことです。

参照元:リゾートグランピングドットコム「グランピング施設の売上アップ策」

集客チャネルの最適化

稼働率を上げるには、「何を売るか」だけでなく「どこから予約を獲得するか」も見直す必要があります。グランピング施設の集客チャネルには、一般的な宿泊施設とは異なる特徴があります。

OTAだけに頼らない自社集客の重要性

楽天トラベルやじゃらんなどのOTA(オンライン旅行代理店)は、宿泊施設にとって一般的な集客チャネルですが、グランピング施設の場合はOTAからの予約比率が低い傾向にあります。

グランペディアによると、グランドーム京都天橋立における2019年8月の全予約に対するOTAからの予約割合はわずか6%だったとのこと。その理由として、OTAは在庫数の多い大型宿泊施設を優先的に上位表示する仕組みであり、10棟前後しか在庫を持たないグランピング施設は上位表示されにくいことが挙げられています。

参照元:グランペディア「グランピング施設の集客方法」

GLAMPICKSも自社グランピング施設のデータを公開しており、公式サイトでの予約が92.1%を占め、OTAでの予約は7.9%にとどまっています。OTA経由の予約者にも「Instagramを見て」「Googleで調べて」という人が多く、自社での情報発信がOTA経由の予約にも寄与していたとされています。

参照元:GLAMPICKS「グランピング施設運営の集客方法まとめ」

OTAに掲載しただけでは予約は入らない

グランペディアは「施設を作れば予約で埋まる時代は終わった」と指摘しています。有名グランピング施設の多くはOTAに掲載せず、Google検索やSNSからの流入で自社サイトに誘導し、そこから予約を獲得しています。自社での集客基盤の構築が、稼働率改善の根幹となります。

Instagram・SNS運用のポイント

グランピング施設の集客において、Instagramは最も重要なSNSチャネルの一つです。グランペディアの利用アンケートでは、施設を知ったきっかけとして「知人の紹介」がダントツの1位(50%近く)を占めており、現代の紹介はInstagramをはじめとしたSNSが中心だと分析されています。

参照元:グランペディア「グランピング インターネット集客の完全講義」

GLAMPICKSでは、Instagram広告について「グランピングに興味がある、かつ女性、かつ20代・30代」など条件を絞ったターゲティング配信が有効だとしています。Dot Homesも、SNS運用では単なる宣伝ではなくフォロワーとのコミュニケーションを深めるオーガニックな発信が重要だと指摘しています。

参照元:Dot Homes「宿泊業界のSNSマーケティング」

SEO・MEO・口コミ施策

ダイナテックでは、グランピング施設の集客アイデアとして、公式サイトの改善、SEO対策、MEO対策(Googleマップ最適化)、口コミ・レビュー戦略を挙げています。

参照元:ダイナテック「グランピング集客アイデア7選」

特にSEO対策は、Google検索から自社サイトへの流入を増やす施策として重要です。「エリア名+グランピング」「グランピング+サウナ」「グランピング+ペット」など、ターゲット層が検索しそうなキーワードで自社サイトが上位に表示される状態を作ることで、OTAを介さず直接予約を獲得できます。

MEO対策(Googleビジネスプロフィールの最適化)も、地域名での検索やGoogleマップからの流入を増やすのに効果的です。口コミ数と評価を高めておくことで、検索結果での表示順位と予約転換率の両方に好影響を与えます。

グランピングの客単価を上げる方法

稼働率の改善と並行して取り組みたいのが、客単価の向上です。値上げではなく「付加価値の追加」で単価を上げる方法を中心に解説します。

宿泊棟のグレードアップ

リゾートグランピングドットコムは、自社の経験則として「テントはドーム型テントが最も集客しやすく、単価も高く設定ができている」と述べています。実際に、ベルテントやロータスベルテントからドームテントに変更したケースがあるとのことです。

宿泊棟の見た目や快適性を向上させることで、より高い宿泊料金を設定できるようになります。テントの変更は、建物のリノベーションと比べて投資額を抑えられるグランピングならではの強みです。

参照元:リゾートグランピングドットコム「グランピング施設の売上アップ策」

サウナなど付帯サービスの有料化で客単価アップ

ホテル・旅館利益向上プロジェクトによると、サウナ導入による客単価アップには以下の効果が報告されています。

  • サウナ付きの客室や施設では、通常の宿泊料金よりも20〜30%高い価格設定が可能
  • サウナ利用を有料オプション(1回3,000円〜5,000円)として提供することで宿泊単価を引き上げ
  • サウナ利用により滞在時間が延び、飲食など付帯サービスの利用増加にもつながる

参照元:ホテル・旅館利益向上プロジェクト「サウナ導入で売上向上!」

サウナは「閑散期の集客改善」と「客単価アップ」の両方に効く施策です。稼働率と客単価の2つの課題を同時に解決できる設備投資として、検討する価値は高いでしょう。

食事・体験プランのアップセル

リゾートグランピングドットコムでは、定員数を増やして団体対応型プランを設定する方法も紹介されています。グランドーム京都天橋立のトリプルベースという客室は、ドームテントと市販テント2基の合計3つで1つの客室を構成しており、夏休みは最も早く予約が入り、8月は300万円以上の売上になっているとのことです。

食事プランのグレードアップも客単価に直結します。地元食材を使った特別BBQコース、朝食付きプランの追加、ドリンクの飲み放題オプションなど、宿泊料金に上乗せできるメニューを用意することで、無理な値上げをせずに客単価を高められます。

客室数を増やして売上の上限を引き上げる

稼働率と客単価がすでに高い水準に達している施設にとって、売上をさらに伸ばすには「客室数の増加」が有効な打ち手になります。

増設のタイミングと投資判断の考え方

リゾートグランピングドットコムでは「1室あたりの年間売上高が1,000万円」を一つの基準としています。この水準を超えている場合、客室を増やすことで売上の天井を引き上げられる可能性があります。

グランピングはホテルや旅館と比較して、テントなど安価な設備投資で客室を増やしたり変更したりできるのが強みです(リゾートグランピングドットコム)。増設は大きな投資判断ですが、既存の稼働率データをもとに「繁忙期に満室で断っている予約がどれだけあるか」を把握すれば、投資回収の見通しを立てやすくなります。

参照元:リゾートグランピングドットコム「グランピング施設の売上アップ策」

低コスト・短工期で増設できる構造物の選択肢

客室を増設する場合、構造物の選択が費用とスケジュールに直結します。コテージのように基礎工事と建築確認が必要な構造物は、工期も費用も大きくなります。

一方、建築確認が原則不要な構造物であれば、手続きの負担を抑えつつ短期間で増設が可能です。たとえばインスタントハウスは、基礎工事不要・ペグやビスで固定する構造で、設営は数時間(約6時間)で完了します。法的に「工作物」として扱われるため建築確認申請が原則不要で(行政判断による)、増設時の手続き負担を軽減できます。

サウナの増設も同様です。インスタントサウナは100V電源で運用可能な電気サウナストーブを採用しており、電気工事が不要です。宿泊棟の増設とサウナの追加を組み合わせることで、「客室数の増加」と「閑散期の集客改善」「客単価アップ」を同時に実現できます。

スクロールできます
施策期待できる効果投資規模の目安
宿泊棟の増設(インスタントハウス)客室数の増加による売上天井の引き上げシンプル43 2,244,000円(税込)〜 ※本体+標準設営費
サウナの導入(インスタントサウナ)閑散期の集客改善+客単価20〜30%アップ要問い合わせ
テント変更(ドーム型テントへ)客単価の向上、集客力の強化メーカー・サイズにより異なる

グランピング施設の集客・稼働率改善でよくある質問

グランピング施設の1室あたりの年間売上の目安はありますか?

リゾートグランピングドットコムでは、グループ施設の運営基準として「1室あたりの年間売上高が1,000万円に満たない場合は対策を実施する」としています。自施設の売上水準を判断する一つの参考になります。

OTAに掲載しているのに予約が入りません。なぜですか?

グランペディアによると、OTAは在庫数の多い大型宿泊施設を優先的に上位表示する仕組みのため、10棟前後のグランピング施設は上位表示されにくい傾向があります。実際にグランドーム京都天橋立ではOTA経由の予約比率はわずか6%にとどまっています。自社サイトとSNSを中心とした集客基盤の構築が重要です。

冬場の稼働率を改善するにはどうすればよいですか?

Dot Homesでは、冬場の対策として温泉施設の併設、サウナ、焚き火コンテンツの導入を挙げています。特にサウナは、天候や季節に左右されないコンテンツとして閑散期の集客改善に効果的です。断熱性の高い宿泊施設を採用して冬でも快適に過ごせる環境を整えることも重要です。

サウナ導入で客単価はどのくらい上がりますか?

ホテル・旅館利益向上プロジェクトによると、サウナ付きの客室や施設では通常の宿泊料金よりも20〜30%高い価格設定が可能です。サウナ利用を有料オプション(1回3,000円〜5,000円)として提供する方法もあります。

客室を増設したいのですが、建築確認が心配です。

建築確認が原則不要な構造物を選べば、手続きの負担を軽減できます。たとえばインスタントハウスは法的に「工作物」として扱われるため、建築確認申請が原則不要です(行政判断による)。基礎工事不要で設営も数時間で完了するため、短期間での増設が可能です。

まとめ

グランピング施設の売上改善ポイント
  • 売上は「稼働率 × 客単価 × 客室数」で構成される。まずは閑散期・平日の稼働率改善から手をつけるのが効率的
  • 冬場はサウナ・暖房設備・焚き火など「寒い季節だからこそ楽しめるコンテンツ」で集客。平日は企業研修・ペット同伴プランで新しい客層を開拓
  • OTAだけに頼らず、自社サイト+Instagram+SEO/MEO対策で集客基盤を構築する。グランピング施設の予約の大半は自社経路から
  • 客単価アップにはサウナ導入が効果的(宿泊料金20〜30%アップ、有料オプション3,000〜5,000円の実績あり)
  • 稼働率・客単価が高い施設は、建築確認が原則不要な構造物で客室増設を検討し、売上の天井を引き上げる

グランピング施設の売上改善は、一つの施策だけで劇的に変わるものではありません。稼働率・客単価・客室数の3つの要素を総合的に見直し、自施設の課題に合った施策から一つずつ取り組んでいくことが大切です。

特に閑散期対策としてのサウナ導入と、売上の天井を引き上げる客室増設は、中長期的な売上改善に大きなインパクトを与えます。短工期・低コストで導入できるインスタントハウスやインスタントサウナは、投資リスクを抑えながら売上改善を図る選択肢として検討してみてください。

監修者

山中典(やまなか つかさ)

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO/名古屋工業大学共同研究員。インスタントハウスの開発・事業を軸に、災害支援から多様な空間活用まで幅広く展開している。

東証プライム上場LIFULLグループ|導入実績240棟以上

目次