グランピング開業に必要な設備一覧|客室・水回り・インフラ・運営までチェックリスト

グランピング施設の開業を準備していると、「結局どんな設備を揃えればいいのか」が意外と整理しづらいものです。客室の中の備品から、水回り、電気・水道などのインフラ、予約システムといった運営ツールまで、必要な設備は多岐にわたります。一つでも抜けると、開業直前に慌てたり、ゲストの満足度を下げたりしかねません。

監修者

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO
名古屋工業大学 共同研究員
山中典(やまなか つかさ)

この記事では、グランピング開業に必要な設備を「客室」「水回り」「インフラ」「運営」の4カテゴリに分けて、チェックリスト形式で整理しました。これから開業を準備する方が、設備の抜け漏れを防ぐための確認リストとして活用してください。
目次

グランピング開業に必要な設備の全体像

グランピング施設の設備は、大きく4つのカテゴリに分けて考えると整理しやすくなります。まずは全体像を把握しておきましょう。

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カテゴリ主な設備役割
①客室設備宿泊棟・寝具・冷暖房・家具・照明ゲストが快適に過ごす空間の核
②水回り設備トイレ・シャワー・洗面・炊事場滞在の快適性と衛生を支える
③インフラ設備電気・上下水道・通信・空調電源施設全体を機能させる土台
④運営設備受付棟・BBQ設備・予約システム・備品事業として回すための仕組み

Dot Homesの解説では、グランピング施設の開業では建物本体以上に費用の差が大きいのがインフラ整備や造成工事だと指摘されています。設備というと客室の華やかな部分に目が向きがちですが、見落とされやすいインフラや運営の設備こそ、事前の計画が重要になります。

参照元:Dot Homes「グランピング開業の初期費用と集客シミュレーション」

【客室設備】チェックリスト

客室はグランピング体験の中心です。「キャンプの非日常感」と「ホテル並みの快適さ」を両立させることが、満足度とリピートを左右します。

宿泊棟(テント・ドーム・キャビンなど)

客室設備の核となるのが宿泊棟です。Dot Homesの解説でも、宿泊施設選びは初期投資の成否を左右する最重要ポイントとされ、ドーム型・テント型・キャビン型は耐候性・断熱性・投資回収期間という評価軸で大きな違いがあると整理されています。立地の気候や狙う客層、通年営業の有無を踏まえて選ぶことが大切です。

参照元:Dot Homes「グランピング開業の初期費用と集客シミュレーション」

客室内の必須設備

客室内チェックリスト
  • ベッド・マットレス・寝具一式(人数分)
  • 冷暖房設備(エアコン・ストーブ・ファンなど)
  • 照明(メイン照明+間接照明・ランタンなど雰囲気づくり)
  • テーブル・チェア・ソファなどの家具
  • 電源コンセント・USBポート
  • 収納・ハンガー・荷物置き
  • 冷蔵庫・電気ケトル・グラス類

WASIMILの解説でも、近年は冷暖房完備でより快適さをアピールし差別化を図る施設が増えていると紹介されています。特に冷暖房は、夏の暑さや冬の寒さへの対応として、通年営業を目指すなら欠かせない設備です。

参照元:WASIMIL「ホテル・旅館のグランピングによる集客アイディア」

なお、客室の断熱性は冷暖房の効きやランニングコストに直結します。宿泊棟そのものに断熱性能があるタイプを選べば、冷暖房効率を高めやすくなります。

【水回り設備】チェックリスト

水回りは、グランピングの満足度を大きく左右する設備です。「キャンプは好きだけどトイレやシャワーが不便なのは嫌」という層を取り込むことが、グランピングの強みだからです。

水回りチェックリスト
  • トイレ(客室付き/共用。水洗・簡易水洗・カセット式など)
  • シャワー・浴室(客室付き/共用)
  • 洗面台・手洗い場
  • 炊事場・流し台(BBQ・自炊用)
  • 給湯設備(特に冬場の温水)
  • 排水・浄化槽(公共下水がない場合)

水回りは「客室ごとに設けるか、共用にするか」で初期費用が大きく変わります。客室ごとに完備すれば快適性と単価を高められますが、配管工事のコストが増えます。共用にすればコストを抑えられますが、立地や動線への配慮が必要です。クレイドルキャビンの解説でも、水回りや事務所をコンテナで用意する方法など、コストと清潔感を両立する選択肢が紹介されています。

参照元:クレイドルキャビン「キャンプ・グランピング開業に必要な水回り・事務所」

なお、トイレやシャワーの衛生基準は旅館業法の簡易宿所営業許可にも関わります。保健所への申請時に水質検査結果などが求められるため、水回りの設計段階から保健所に相談しておくとスムーズです。

【インフラ設備】チェックリスト

インフラは施設全体を機能させる土台です。前述のとおり、グランピング開業では建物本体以上にインフラ整備や造成工事で費用の差が大きくなります。立地によっては引き込み工事だけで大きなコストがかかるため、土地選びの段階から確認しておくべき項目です。

インフラチェックリスト
  • 電気(引き込み・容量確認。冷暖房や調理家電の同時使用に耐えるか)
  • 上水道(公共水道・井戸水。飲用可否の水質確認)
  • 下水・排水(公共下水・浄化槽)
  • ガス(プロパン・カセットなど。BBQや給湯用)
  • 通信・Wi-Fi(予約管理やゲストの利便性に必要)
  • 進入路・駐車場(車でのアクセス・搬入経路)

もりサポートの解説でも、初期投資の内訳には設備投資として電気・水道設備等が含まれると整理されています。インフラが未整備の土地を選ぶと引き込み工事の費用がかさむため、Dot Homesも、開業費用を抑えたいなら土地を見極めてインフラ整備にかかる費用を抑えることが重要だと指摘しています。

参照元:もりサポート「グランピングの開業の流れや費用は?」 / Dot Homes「グランピング開業の初期費用とは?」

【運営設備】チェックリスト

客室・水回り・インフラが整っても、事業として回すための運営設備がなければ施設は機能しません。受付から食事提供、予約管理まで、運営に必要な設備を押さえておきましょう。

受付・共用部の設備

受付・共用部チェックリスト
  • 受付棟・管理棟(チェックイン対応・スタッフ常駐スペース)
  • 共用ラウンジ・休憩スペース(雨天時の避難場所にもなる)
  • BBQ設備・グリル・炊事用品
  • 焚き火台・薪・アクティビティ用品
  • 食器・調理器具(食事提供・レンタル用)
  • アメニティ(タオル・シャンプー・ボディソープなど)

グランペディアの解説でも、BBQ用のグリルや食器などの購入が必要だと触れられています。BBQ HACKが紹介する施設例でも、調理器具・食器・寝具に加え、タオルやシャンプー・リンス・ボディソープといったアメニティが揃っていることが「手ぶらで楽しめる」魅力につながっています。

参照元:グランペディア「グランピング事業の開業準備と事業計画立案のポイント」 / BBQ HACK「国内でグランピングが体験できるスポット25選」

予約・運営管理の仕組み

見落とされがちですが、予約システムは運営設備の重要な一部です。グランペディアでも、採用する人員を極小化できるオペレーションの仕組みづくりが重要で、集客や予約受付処理はインターネットを活用して省力化することが挙げられています。

予約・運営管理チェックリスト
  • 予約管理システム(OTA連携・自社予約・在庫管理)
  • 決済手段(クレジット・電子マネー・現地精算)
  • チェックイン対応(スマートチェックイン・タブレットなど)
  • 清掃・リネン管理の体制
  • 消防設備(消火器・避難経路の表示など)

予約管理システムは、食事の有無やBBQグリルなどのレンタルオプションを組み込めるものを選ぶと、プランが煩雑化しても管理しやすくなります。アップセル・クロスセルの仕組みを予約導線に組み込むことで、客単価アップにもつながります。

参照元:予約番「グランピングの宿泊予約システム導入事例」

設備投資を抑えるための工夫

ここまで挙げた設備をすべて高仕様で揃えると、初期投資は大きくふくらみます。Dot Homesの調査ではグランピング施設の開業には最低でも4,000万円の初期投資が必要とされており、規模によっては1億円以上になることも珍しくないとされています。設備投資を抑えるには、優先順位をつけた段階的な整備が有効です。

参照元:Dot Homes「グランピング開業の初期費用とは?」

宿泊棟のコストと手間を抑える選択肢

初期投資の中でも大きな割合を占めるのが宿泊棟です。ここで建築確認や基礎工事の負担が大きいタイプを選ぶと、設備以外のコストや工期もかさみます。工作物として扱われる構築物を選べば、宿泊棟まわりのコストと手間を抑えやすくなります。

たとえばインスタントハウスは、LIFULLと名古屋工業大学大学院の共同研究から生まれたドーム型の構築物で、法的に「工作物」として扱われるため建築確認申請が原則不要とされています(行政判断による)。基礎工事不要でペグやビスで固定し、設営は数時間(約6時間)で完了します。断熱材を360°に使用しているため外気温の影響を受けにくく、客室の冷暖房効率を高めやすい点も、ランニングコストの観点でメリットになります。

本体価格に設営費が含まれているわかりやすい価格設定で、サイズを調整することも可能です。客室棟だけでなく、受付棟や共用ラウンジとしても活用できるため、設備計画の自由度が高まります。なお、断熱材の発泡ウレタンを用いた独自の構造により、高い断熱性能と熱循環効率を実現した新しいサウナであるインスタントサウナは、100V電源で運用でき電気工事が不要なため、付加価値設備として組み合わせやすい選択肢です。

グランピング開業の設備に関するよくある質問

グランピング開業に最低限必要な設備は何ですか?

宿泊棟・寝具・冷暖房といった客室設備、トイレ・シャワー・洗面などの水回り、電気・上下水道のインフラ、受付やBBQ設備・予約システムなどの運営設備が基本です。これらは「客室」「水回り」「インフラ」「運営」の4カテゴリで整理すると抜け漏れを防ぎやすくなります。立地や規模によって必要な仕様は変わるため、優先順位をつけて整備しましょう。

水回りは客室ごとに作るべきですか?共用でもいいですか?

どちらも選択肢です。客室ごとにトイレ・シャワーを完備すると快適性と宿泊単価を高められますが、配管工事のコストが増えます。共用にすればコストを抑えられますが、動線やプライバシーへの配慮が必要です。狙う客層と予算のバランスで判断してください。なお、衛生基準は旅館業法の許可にも関わるため、設計段階で保健所に相談しておくと安心です。

インフラ整備の費用を抑えるにはどうすればいいですか?

電気・上下水道がすでに整備された土地を選ぶことが最も効果的です。グランピング開業では建物本体以上にインフラ整備や造成工事で費用差が大きくなるため、未整備の土地では引き込み工事だけで大きなコストがかかります。土地選びの段階で、インフラの整備状況と引き込みの可否を必ず確認しましょう。

予約システムは必要ですか?

運営の省力化と客単価アップの両面で重要です。予約受付をインターネットで自動化すれば、少人数でも運営しやすくなります。食事の有無やBBQグリルのレンタルなどのオプションを組み込めるシステムを選ぶと、プランが複雑でも管理しやすく、アップセル・クロスセルによる客単価アップも見込めます。

設備投資を抑えながら開業する方法はありますか?

優先順位をつけた段階的な整備が基本です。インフラの整った土地を選ぶ、共用設備を中古や既存建物で代用する、宿泊棟は安価で設置しやすいタイプから始めて段階的に拡張する、といった工夫が有効です。宿泊棟については、建築確認や基礎工事の負担が少ない工作物扱いの構築物を選ぶと、設備以外のコストと工期も抑えやすくなります。

まとめ

グランピング開業の設備 4カテゴリのおさらい
  • 客室設備……宿泊棟・寝具・冷暖房・家具・照明。快適性と非日常感の両立がカギ
  • 水回り設備……トイレ・シャワー・洗面・炊事場。客室ごとか共用かで費用が変わる
  • インフラ設備……電気・上下水道・ガス・通信・進入路。土地選びの段階で確認すべき
  • 運営設備……受付棟・BBQ設備・予約システム・アメニティ。事業を回す仕組み
  • 設備投資は優先順位をつけて段階的に。宿泊棟は工作物扱いの構築物でコストと手間を抑える選択肢もある

グランピング開業に必要な設備は、客室・水回り・インフラ・運営の4カテゴリで整理すると、抜け漏れを防ぎながら計画を立てられます。特にインフラと運営の設備は見落とされやすいため、客室の魅力づくりと並行して、早い段階から計画に組み込んでおくことが大切です。

すべてを一度に高仕様で揃える必要はありません。優先順位をつけて段階的に整備し、宿泊棟のように費用の大きい部分はコストと手間を抑えられる選択肢も検討しながら、無理のない開業計画を立てていきましょう。このチェックリストを、設備の確認に役立ててください。



監修者

山中典(やまなか つかさ)

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO/名古屋工業大学共同研究員。インスタントハウスの開発・事業を軸に、災害支援から多様な空間活用まで幅広く展開している。

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