遊休地をグランピングで活用する方法|費用・条件・構造物の選び方

使っていない土地があるけど、固定資産税だけかかって困っている…。グランピングで活用できるって聞いたけど、本当にうまくいくの?

遊休地を所有し続けるだけで、固定資産税や都市計画税、草刈りなどの管理コストが毎年発生します。生和コーポレーションによると、遊休地は「固定資産税や都市計画税がかかるばかりか、維持や管理にも手間やお金がかかり、所有する土地オーナー様にとって大きな負担」とされています。

参照元:生和コーポレーション「遊休地にかかる税金とは?固定資産税を抑えるための活用方法や対策」

こうした遊休地の活用方法として、近年注目を集めているのがグランピング事業です。ホテルや旅館のように大型の建物を建てる必要がなく、比較的低コストで始められるのが大きな特徴です。

監修者

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO
名古屋工業大学 共同研究員
山中典(やまなか つかさ)

この記事では、遊休地をグランピングで活用するメリット、向いている土地の条件、費用と投資回収の考え方、さらにはサウナ事業との組み合わせや撤去可能な構造物の選び方まで、土地オーナー向けに解説します。
目次

遊休地をグランピングで活用するメリット

建物を建てずに事業を始められる

グランピング事業の最大の特徴は、ホテルや旅館のように大規模な建物を建設する必要がないことです。GlamPicks(ダイブ社)のプレスリリースでは「ホテルや旅館などの施設を建てないことで、キャッシュが少なくても土地がある、地方自治体やベンチャー企業がホテル経営に参入しやすくなる」と述べています。

参照元:ダイブ「地方自治体遊休地を活用してグランピング経営ができるサービスGlamPicksがスタート」

テントやドーム型の構造物であれば、基礎工事を伴う建築物と比べて初期投資を大幅に抑えられます。遊休地のように「すでに土地がある」状態であれば、土地の取得コストがかからない分、さらに参入障壁が低くなります。

撤去可能・動産扱いで土地への影響が少ない

グランピング事業で使用するテントやドーム型構造物は、基礎工事を伴わない構造のものが多く、事業を終了する際に撤去して土地を原状回復できる点が大きなメリットです。

GlamPicksのプレスリリースでも「グランピング機材は、必要が無いときには収納が可能なので、施設維持のための負担を軽減することが可能です。これにより、経営する地域が盛り上がる季節やイベント時にグランピング施設をオープンすることで、期間限定での経営を行うこともできます」としています。

特に「工作物」として扱われる構造物(インスタントハウスなど)は、動産として扱われるのが一般的で、土地への定着性がないため、将来的に土地を売却したり別の用途に転用したりする際にも柔軟に対応できます。

他の土地活用と比較した場合の特徴

遊休地の活用方法としては、駐車場経営、太陽光発電、アパート経営、トランクルームなどが一般的です。グランピング事業をこれらと比較した場合、以下のような特徴があります。

スクロールできます
活用方法初期費用収益性撤去・原状回復立地の制約
駐車場経営低い低〜中容易都市部・駅近が有利
太陽光発電中程度低〜中(売電価格は低下傾向)パネル撤去が必要日照条件が重要
アパート経営高い(建築費大)中〜高困難(建物の解体が必要)賃貸需要のあるエリア
グランピング事業中程度中〜高構造物による(撤去可能なタイプあり)自然豊かなエリアが有利

グランペディアによると「初期投資が小さければ黒字確保の難易度も下がり、稼働率20%程度から採算を合わせられる」とされています。遊休地の活用は「土地があるのにコストだけかかっている」状態を「収益を生む資産」に変える手段であり、グランピング事業はその中でも自然豊かな郊外の遊休地に適した選択肢です。

参照元:グランペディア「グランピング事業の開業準備と事業計画立案のポイント」

遊休地の「負の資産」を「収益資産」に転換する

マネーフォワードによると、遊休資産は「固定資産税の支払い、手入れや維持管理にかかるコスト、時間の浪費など大きなデメリット」を生みます。グランピング事業は建物を建てずに始められ、撤去可能な構造物を選べば土地への影響も最小限に抑えられるため、遊休地の活用手段として相性の良い選択肢です。

グランピング活用に向いている遊休地の条件

どんな遊休地でもグランピング事業が成り立つわけではありません。グランペディアは「どんな場所でも必ず成功するわけではない」と明言しています。成功の確率を高めるために、事前に確認すべき土地の条件を整理します。

立地・アクセスの目安

グランピング施設は、主要都市から車で1.5〜2時間以内のアクセスが理想的です。遠すぎると集客が難しくなり、近すぎると「非日常感」が薄れます。

グランペディアは、既存の宿泊施設との連携も有効な戦略として紹介しています。「近隣にグランピングを運営できる宿泊施設事業者などがあれば、受付・精算業務や食事提供、入浴設備やトイレの兼用が可能」であり、この場合は3室程度からでも運営が可能とのことです。

参照元:グランペディア「グランピングコンサルが教える遊休土地の活用事例」

土地の広さ・形状

グランペディアによると、グランピング施設を新規で開業する場合は「客室数は最低でも5室以上が望ましい」とされています。専属スタッフの雇用、入浴設備やトイレ、管理棟の整備費用を考えると、客室数が少なすぎると利益確保が難しいためです。

ダイブ社のGlamPicksによると、グランピング施設は「1室あたり200〜300平方メートルの土地が必要」とされています。5室を整備する場合は1,000〜1,500平方メートル以上が目安になります。

用途地域・法規制の確認ポイント

遊休地の活用では、用途地域の制限を確認することが不可欠です。フィルパークは「土地の利用は、都市計画法の用途地域や自治体の条例などで規制されており、遊休地に限らず土地の活用には一定の制限が設けられています」と述べています。

参照元:フィルパーク「遊休地を賢く活用するビジネスモデルとは?」

特に以下の点を確認しましょう。

  • 用途地域(住居専用地域では宿泊施設の開業が制限される)
  • 市街化調整区域(原則として開発行為が制限されるが、自治体によっては許可されるケースもある)
  • 農地法(農地に該当する場合は農地転用の手続きが必要)
  • 森林法(1ha以上の伐採には林地開発許可が必要)

これらの確認は、自治体の都市計画課や農業委員会で行えます。計画段階で必ず事前相談しておきましょう。

遊休地でのグランピング開業の費用と投資回収

初期費用の目安

グランピング施設の初期費用は、Dot Homesが最低4,000万円、ダイナテックが2,000〜5,000万円を目安としています。ただし、これは土地代を含んだ金額です。遊休地を活用する場合は土地の取得コストがかからないため、初期費用を大幅に抑えられる可能性があります。

参照元:Dot Homes「グランピング開業の初期費用とは?」 / ダイナテック「グランピング経営は儲かる?」

グランペディアは「テントでグランピング事業を計画する場合は、一室500万円までで整備できる場合がある」としています。既存の建物を管理棟として活用し、テントタイプの宿泊棟を採用すれば、さらにコストを圧縮できます。

投資回収期間の考え方

グランペディアによると「2016年頃に開業したグランピング施設の多くは2〜3年で初期投資を回収している」とのことです。また「初期投資が小さければ黒字確保の難易度も下がり、稼働率20%程度から採算を合わせられる」としています。

遊休地を活用する場合は土地代がかからないため、投資回収のハードルがさらに下がります。ダイナテックは「初期投資は予測年商の2倍以内」を理想としており、この基準で収支計画を立てるのが堅実です。

遊休地×サウナ事業の可能性

遊休地の活用はグランピング宿泊だけにとどまりません。サウナを組み合わせることで、収益性と差別化をさらに高められる可能性があります。

ホテル・旅館利益向上プロジェクトによると、サウナ導入によりサウナ付き宿泊プランは通常料金の20〜30%高い価格設定が可能で、サウナ利用を有料オプション(1回3,000円〜5,000円)として提供する方法もあります。

参照元:ホテル・旅館利益向上プロジェクト「サウナ導入で売上向上!」

遊休地の広さに余裕がある場合は、グランピング宿泊棟+サウナという組み合わせで「サウナ付きグランピング施設」として差別化を図ることができます。サウナは天候や季節に左右されにくいコンテンツであるため、グランピング施設の弱点である冬場の稼働率低下を補う効果も期待できます。

また、宿泊を伴わない「日帰りサウナ」だけでも事業化は可能です。ただし、旅館業許可を取得していない施設でサウナを提供する場合は、公衆浴場営業許可が必要になります(後藤行政書士事務所の情報に基づく)。事業計画の段階で、宿泊+サウナ、または日帰りサウナのどちらで展開するかを決めておきましょう。

宿泊構造物の選び方(撤去可能性・動産扱いの観点)

遊休地でグランピング事業を行ううえで、宿泊構造物の選び方は「撤去可能かどうか」「動産として扱われるかどうか」という観点が特に重要になります。

撤去可能な構造物を選ぶメリット

遊休地オーナーにとって、事業がうまくいかなかった場合やいずれ土地を売却・転用する可能性を考えると、「撤去して原状回復できるかどうか」は重要な判断基準です。

基礎工事を伴うコテージや建築物は、撤去に解体費用がかかり、原状回復のハードルが高くなります。一方、基礎工事を伴わないテントやドーム型構造物であれば、事業を終了する際に撤去して土地を元の状態に戻すことが比較的容易です。

また、動産として扱われる構造物は、固定資産税(土地に対する課税)とは別の「償却資産税」の対象として扱われるのが一般的です。土地の固定資産税評価に影響を与えにくいため、将来の土地活用の柔軟性を保てます。

インスタントハウスの特徴

撤去可能性と動産扱いの観点で注目されるのが、インスタントハウスです。法的に「工作物」として扱われ、動産として扱われるのが一般的です。

遊休地のグランピング活用において、インスタントハウスには以下のメリットがあります。

  • 建築確認申請が原則不要(行政判断による)→ 設計費・申請費の節約
  • 基礎工事不要・ペグやビスで固定 → 土地への影響が最小限で原状回復が容易
  • 動産として扱われるのが一般的 → 土地の固定資産税評価に影響しにくい
  • 設営は数時間(約6時間) → 短期間で事業を開始できる
  • 構造体自体が断熱材(断熱材を360°に使用) → 追加の断熱投資が不要で通年営業に対応
  • 本体価格に標準設営費が含まれたわかりやすい価格設定(シンプル43 2,244,000円税込〜)

遊休地オーナーにとって「撤去可能・動産扱い・建築確認が原則不要」という3つの特徴は、事業リスクを最小限に抑えながらグランピング事業を始めるための重要な条件です。

遊休地×グランピング活用でよくある質問

遊休地でグランピング事業を始めるにはどのくらいの費用がかかりますか?

Dot Homesは最低4,000万円、ダイナテックは2,000〜5,000万円を目安としていますが、これは土地代を含んだ金額です。遊休地を活用する場合は土地代がかからないため、この分を大幅に圧縮できます。グランペディアによると、テントタイプの宿泊棟であれば1室500万円以内で整備できるケースもあります。

グランピングに向いている遊休地の広さはどのくらいですか?

ダイブ社(GlamPicks)によると、グランピング施設は1室あたり200〜300平方メートルの土地が必要です。グランペディアが推奨する「最低5室」を整備する場合は、1,000〜1,500平方メートル以上が目安になります。近隣の既存宿泊施設と連携する場合は3室程度からでも運営は可能とされています。

遊休地でグランピングを始めた後、事業を辞めたくなったらどうなりますか?

基礎工事を伴わない撤去可能な構造物を選んでいれば、撤去して土地を原状回復できます。特にインスタントハウスのように工作物として扱われ、動産扱いとなる構造物であれば、土地への影響を最小限に抑えられます。コテージなど基礎工事を伴う建築物の場合は、撤去に解体費用がかかります。

農地の遊休地でもグランピングはできますか?

農地に該当する場合は、宿泊施設用地として使用する前に農地転用の手続きが必要です。農業委員会に申請し、転用許可を得てから事業を開始する流れになります。市街化調整区域の農地では転用が認められないケースもあるため、早い段階で自治体に確認しましょう。

遊休地にサウナだけ設置して日帰り営業はできますか?

宿泊を伴わない日帰りサウナとして営業する場合は、公衆浴場営業許可が必要になります(後藤行政書士事務所の情報に基づく)。旅館業許可を取得してグランピング宿泊と組み合わせれば、宿泊者向けのサウナは公衆浴場法の適用外となるのが一般的です。事業計画に合わせて保健所に事前相談してください。

まとめ

遊休地×グランピング活用のポイント
  • 遊休地は所有するだけで固定資産税・管理コストがかかる。グランピング事業は建物を建てずに始められ、収益を生む資産への転換が可能
  • 撤去可能・動産扱いの構造物を選べば、事業終了時に原状回復が容易で、土地活用の柔軟性を保てる
  • 向いている土地は「主要都市から車1.5〜2時間以内」「1,000平方メートル以上」「用途地域の制限なし」が目安
  • 遊休地なら土地代ゼロのため、初期投資と投資回収のハードルが大幅に下がる
  • サウナとの組み合わせで客単価20〜30%アップと冬場の集客改善を同時に狙える

遊休地をグランピングで活用することは、「コストだけがかかる負の資産」を「収益を生むプラスの資産」に転換する有効な手段です。特に自然豊かな郊外に土地を持っている方にとって、グランピング事業は相性の良い選択肢と言えます。

構造物選びでは「撤去可能・動産扱い・建築確認が原則不要」という3つの条件を重視することで、事業リスクを最小限に抑えられます。インスタントハウスはこれらの条件を満たす構造物として、遊休地のグランピング活用に適した選択肢です。

監修者

山中典(やまなか つかさ)

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO/名古屋工業大学共同研究員。インスタントハウスの開発・事業を軸に、災害支援から多様な空間活用まで幅広く展開している。

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