「グランピング施設にドームテントを導入したいが、デメリットも把握してから判断したい」。そう考えて情報収集をしているなら、正しいアプローチです。ドームテントはグランピング施設で最も人気のある構築物ですが、導入後に「こんなはずではなかった」と後悔するケースも少なくありません。
監修者

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO
名古屋工業大学 共同研究員
山中典(やまなか つかさ)
この記事では、グランピングテント(特にドームテント)の主要なデメリットを施設運営者の視点で5つに整理し、それぞれの実務上の影響と対策を解説します。
グランピング用ドームテントの5つのデメリット
ドムハカタログの解説でも、全国グランピング協会の調査ではグランピングテントの中で最も人気があるのはドームテントだと紹介されています。しかし人気だからこそ、導入前にデメリットを正確に理解しておくことが重要です。施設運営者が知っておくべき主要なデメリットは次の5つです。
参照元:ドムハカタログ「ドームハウスをキャンプ場・グランピング施設として活用するメリット・デメリット」
| デメリット | 概要 | 影響度 |
|---|---|---|
| ①断熱性の低さ | PVCカバーのみの構造で、冬場の室温維持が難しい | 冬営業の可否に直結 |
| ②結露・蒸れの問題 | 内外の温度差で結露が発生しやすく、夏場は蒸れる | ゲスト満足度・口コミに影響 |
| ③PVCカバーの経年劣化 | 紫外線や風雨でカバーが劣化し、数年単位での交換が必要 | ランニングコストの増加 |
| ④遮音性の低さ | テント素材のため隣室の声や外部音が伝わりやすい | 高単価ゲストの満足度低下 |
| ⑤台風・強風時の運営リスク | 暴風時にカバーの損傷や破損リスクがある | 臨時休業・修理コストの発生 |
デメリット①〜⑤を詳しく解説|施設運営への実際の影響
デメリット① 断熱性の低さ|冬営業の壁になる
一般的なドームテントはPVC(ポリ塩化ビニル)カバーとフレームで構成されており、構造自体に断熱性能がありません。カプセルの解説でも、夏場の蒸れや冬場の結露はドームテント特有の課題と指摘されています。冬場の外気温が氷点下に達する地域では、エアコンやストーブを稼働させてもテント内部の温度維持が難しく、電気代が跳ね上がるケースもあります。
冬営業を断念すれば年間の約5か月が閑散期となり、収益構造に大きな影響を及ぼします。断熱ライナーを別途購入して対策する方法もありますが、ライナーの追加コスト(1棟あたり数十万円)と、ライナー自体の劣化・交換費用も見込む必要があるでしょう。
参照元:カプセル「ドームテント、日本製と海外製のメリット・デメリットを徹底解説」
デメリット② 結露・蒸れの問題|ゲスト体験を損ねる
ドームテントは密閉性が高い一方で通気性に限界があり、内外の温度差で結露が発生しやすい構造です。冬の朝にテント内壁が水滴だらけになる、夏の夜に蒸し暑くて眠れないといったゲストの不満は、口コミ評価を直接的に下げる要因になります。
対策としてはベンチレーション(換気口)の設計が重要ですが、海外製のドームテントではベンチレーションの性能が日本の高温多湿な気候に十分対応していない製品もあります。エアコンを設置する場合も、テント素材に穴を開けて設置するため施工の精度が問われます。
デメリット③ PVCカバーの経年劣化|隠れたランニングコスト
ドームテントのPVCカバーは紫外線・風雨・積雪といった外的要因で劣化します。グランピングスガモトの解説では、テントは施設の未来に対する投資判断であり、長期的な視点でコストパフォーマンスを考える必要があると指摘されています。一般的なPVCカバーの寿命は5〜10年程度ですが、設置環境や気候条件によっては3〜5年で交換が必要になるケースもあるでしょう。
カバーの交換費用は1棟あたり数十万円。10棟規模の施設なら数年ごとに数百万円の定期コストが発生する計算です。導入時の安さだけで判断すると、ランニングコストを含めたトータルコストで想定以上の出費になる可能性があります。
参照元:グランピングスガモト「グランピングテント選びの新基準!耐久性や固定資産税ってどうなの?」
デメリット④ 遮音性の低さ|高単価路線との相性が悪い
テント素材の宿命として、遮音性は木造やコンテナに比べて大幅に劣ります。隣の客室の会話や笑い声、外部の環境音(風の音・動物の声)がそのまま室内に伝わるため、「静かにゆっくり過ごしたい」というゲストの期待に応えにくくなります。
テントサイト間の距離を十分に確保すれば軽減できますが、そのぶん土地の利用効率が下がります。1泊数万円の高単価グランピングを目指す場合、遮音性の低さはゲスト満足度と口コミ評価に直結するため、見落としてはいけないポイントです。
デメリット⑤ 台風・強風時の運営リスク
Dot Homesの宿泊棟選び解説では、国内産のドームテントは風速34m/sという台風並みの強風にも耐えるポテンシャルがあるとされています。しかし海外製の安価なモデルではフレーム強度やペグダウンの設計が日本の気象条件に合っていないケースもあり、台風シーズンの臨時休業や修理コストが発生するリスクがあります。
台風の通過後にカバーの破損やフレームの変形が見つかれば、修理期間中の機会損失も加わります。施設が台風の通過ルートに近い地域であれば、構築物の耐風性能は収益に直接影響する要素として重視すべきでしょう。
参照元:Dot Homes「グランピング施設の失敗しない宿泊棟選び」
5つのデメリットを解消する構築物の選択肢
ドームテントの5つのデメリットは、構築物の選び方を変えることで解消できるものが多くあります。木造コテージやコンテナハウスを選べば断熱性・遮音性・耐候性は向上しますが、建築確認申請・基礎工事・数か月の工期・高額な初期投資という別の壁が立ちはだかります。
ドームテントの「手軽さ」は残しつつ、デメリットを構造的に解消する選択肢として注目されているのが、インスタントハウスです。2011年の東日本大震災での被災地支援をきっかけにした名古屋工業大学大学院の北川啓介教授の研究をもとに、LIFULLと名古屋工業大学大学院による共同研究にて開発した構築物で、法的に「工作物」として扱われます。

デメリット別の対応比較
| デメリット | 一般的なドームテント | インスタントハウス |
|---|---|---|
| ①断熱性 | PVCカバーのみ。冬営業には別途断熱ライナー+暖房が必須 | 断熱材を360°に使用しており、外気温の影響を受けにくい。別途断熱ライナーを購入する必要がない |
| ②結露・蒸れ | PVC素材の特性上、結露が発生しやすい | 素材自体が断熱材として機能するため、内外の温度差による結露が発生しにくい |
| ③PVCカバーの劣化 | 紫外線・風雨で3〜10年で交換が必要。交換費用が定期的に発生 | ドーム形状の構造体全体で構成されており、PVCカバーの定期交換という概念がない |
| ④遮音性 | テント素材のため隣室の音が伝わりやすい | 断熱材の層が遮音にも寄与し、テントと比べて室内の静粛性が高い |
| ⑤台風・強風 | カバーの破損リスクあり。海外製は日本の気象に未対応の場合も | 風速80m/s程度まで対応。ペグやビスで固定する構造のため、強風にも耐えやすい |
ドームテントの「手軽さ」も維持
インスタントハウスは、デメリットを解消しながら、ドームテントが選ばれる理由だった「手軽さ」も維持しています。
- 建築確認申請が原則不要(行政判断による)……ドームテントと同様に手続きの負担が軽い
- 基礎工事不要・ペグやビスで固定……ドームテントと同様に造成が最小限で済む
- 設営は数時間(約6時間)……ドームテントの数日よりもさらに短い工期
- 動産として扱われるのが一般的……固定資産税が原則かからず、撤去・移設も柔軟
本体価格に設営費が含まれているわかりやすい価格設定で、サイズを調整することも可能です。特注仕様の場合は製作期間が別途必要となります。
断熱材の発泡ウレタンを用いた独自の構造により、高い断熱性能と熱循環効率を実現した新しいサウナであるインスタントサウナは、100V電源で運用可能な電気サウナストーブを採用しており電気工事が不要です。冬営業の集客コンテンツとして、インスタントハウスの宿泊棟と組み合わせて導入するケースも増えています。

それでもドームテントが向いているケース
デメリットを整理してきましたが、ドームテントが最適な選択肢になるケースも確かに存在します。バランスの取れた判断のために、ドームテントが向いている条件も押さえておきましょう。
- 温暖な地域で冬営業の必要がない場合……断熱性のデメリットがほぼ影響しないため、ドームテントの低コスト・手軽さが最大限に活きる
- 初期投資を100万円以下に抑えたい場合……海外製のスタンダードモデルなら1棟50〜100万円台から導入可能。限られた予算で多棟展開したい場合に有利
- SNS映え・ビジュアル重視の場合……透明なドームテント(バブルテント)のような特殊デザインは、ドームテントならではの選択肢
- 季節限定(夏のみ)の営業を想定している場合……通年営業を前提としないなら、断熱性・耐候性のデメリットの影響が小さくなる
ドームテントとインスタントハウスは「どちらか一方」ではなく併用も可能です。夏季はドームテントの開放感を活かし、通年営業の主力棟としてインスタントハウスを配置する。こうした組み合わせで、季節ごとの稼働率を最適化している施設もあります。
グランピングテントのデメリットに関するよくある質問
- ドームテントで冬営業は可能ですか?
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不可能ではありませんが、別途断熱ライナーの購入・エアコンやストーブの常時稼働・電気代の大幅増加を覚悟する必要があります。温暖な地域であれば暖房設備の追加だけで対応可能ですが、寒冷地では断熱性の高い構築物(インスタントハウス・コンテナハウス・木造キャビンなど)への切り替えを検討したほうが、ランニングコストを含めたトータルコストで有利になるケースが多いでしょう。
- ドームテントのPVCカバーはどのくらいの頻度で交換が必要ですか?
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設置環境や気候条件によりますが、一般的には5〜10年程度が目安とされています。紫外線が強い地域や台風の通過が多い地域では3〜5年で劣化が目立つケースもあるでしょう。カバーの交換費用は1棟あたり数十万円で、10棟規模の施設では数年ごとに数百万円のランニングコストが発生する計算になります。
- ドームテントの結露対策はありますか?
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ベンチレーション(換気口)の改善、サーキュレーターの設置、除湿器の導入などが一般的な対策です。ただしこれらはいずれも「対症療法」であり、テント素材の構造的な課題を完全に解消するものではありません。結露がゲスト満足度に大きく影響する施設では、素材自体に断熱性がある構築物を選ぶことが根本的な解決策になります。
- ドームテントとインスタントハウスの価格差はどのくらいですか?
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一般的なドームテントは1棟50〜300万円、インスタントハウスは本体+標準設営費込みで税込2,244,000円〜4,950,000円です。単純な導入コストではドームテントが安いですが、断熱ライナー・暖房設備・PVCカバーの交換費用を含めた5年間のトータルコストで比較すると、差が縮まるケースも多いでしょう。
- ドームテントの遮音性はどの程度ですか?
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テント素材の特性上、木造やコンテナと比べると遮音性は大幅に劣ります。隣室の会話や笑い声、外部の環境音がそのまま室内に伝わるため、高単価のプライベート空間を売りにする場合はテントサイト間の距離を十分に確保するか、遮音性の高い構築物を選ぶ必要があります。
- ドームテントとインスタントハウスは併用できますか?
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併用は可能です。夏季限定のサイトにドームテントを配置し、通年営業の主力棟としてインスタントハウスを使う組み合わせが一つの方法です。既存のドームテントサイトにインスタントハウスを数棟追加して「冬でも泊まれるプラン」を新設する、というアプローチも検討できます。
まとめ
- ドームテントの主要デメリットは、断熱性の低さ・結露と蒸れ・PVCカバーの経年劣化・遮音性の低さ・台風時の運営リスクの5つ
- 冬営業を計画するなら、断熱ライナーと暖房のランニングコストを含めたトータルコストで判断する
- 導入コストの安さだけでなく、PVCカバーの交換費用を含めた5年間のトータルコストで比較する視点が重要
- インスタントハウスは、ドームテントの「手軽さ」を維持しつつ5つのデメリットを構造的に解消する選択肢
- 温暖地域・夏季限定営業・低予算多棟展開の場合はドームテントが依然として有力。通年営業・寒冷地・高単価路線ならインスタントハウスや他の構築物を検討する
- ドームテントとインスタントハウスの併用で、季節ごとの稼働率を最適化する戦略も有効
「ドームテント デメリット」を検索するのは、導入前に正しい判断をしたいからこその行動です。デメリットを知ったうえで「自分の施設にはドームテントが合っている」と判断できれば、それが正解です。逆に「断熱性や耐候性が足りない」「冬営業ができないのは収益に響く」と感じたなら、インスタントハウスのように構造的にデメリットを解消した構築物を検討してみてください。
大切なのは「人気だから選ぶ」のではなく「自分の施設の条件に合うから選ぶ」こと。この記事がその判断材料になれば幸いです。




