グランピング開業に資格は必要?必要な許可・申請をわかりやすく解説

「グランピングを開業したいが、何か資格を取らないといけないのだろうか」。開業を検討し始めた方が最初に抱く疑問のひとつです。結論からいえば、グランピングの開業に特別な国家資格は必要ありません。ただし、施設の運営形態によっては取得すべき資格が出てきますし、資格とは別に、行政の許可・申請は避けて通れません。

監修者

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO
名古屋工業大学 共同研究員
山中典(やまなか つかさ)

この記事では、グランピング開業に必要な資格の有無を整理したうえで、旅館業法の営業許可をはじめとする必要な許可・申請の全体像をわかりやすく解説します。開業準備のどの段階で何の手続きをすればいいのか、この記事1本で見通しが立つようにまとめました。
目次

グランピング開業に資格は必要?結論と必要になるケース

グランピング施設を開業するために、宅建士や調理師免許のような特別な国家資格は必要ありません。未経験・無資格からでも開業は可能です。ただし、施設の運営形態によっては、次の2つの資格の取得が必要になります。

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資格必要になるケース取得方法
食品衛生責任者BBQ食材や食事を提供する場合講習会の受講(1日程度)
防火管理者収容人数30人以上の施設の場合講習の受講(1〜2日)

食品衛生責任者|食事を提供するなら必要

グランピングの魅力であるBBQや朝食の提供を行う場合、飲食店営業の許可とあわせて、施設専任の「食品衛生責任者」を置く必要があります。グランプレスの解説でも、許可申請には各施設に専任の食品衛生責任者が不可欠で、他施設との兼任は認められないとされています。

食品衛生責任者の資格は、各都道府県等が実施する養成講習会を受講すれば取得できます。講習は1日程度で、衛生法規・公衆衛生学・食品衛生学を学ぶ内容です。受講に予備知識は不要なため、開業準備と並行して早めに受講しておくとスムーズです。

参照元:グランプレス「キャンプ場経営に必要な許可や申請の種類は?」 / KitchenBASE「飲食店を開業するのに必要な資格は2つ」

防火管理者|収容人数30人以上の施設で必要

収容人数が30人以上の施設では、消防法に基づき「防火管理者」を選任する必要があります。防火管理者の資格は講習の受講で取得でき、延床面積300㎡以上は甲種(2日間)、300㎡未満は乙種(1日)の講習が目安です。選任後は消防署へ防火管理者選任届を提出します。

小規模なグランピング施設では選任が不要なケースもありますが、宿泊客とスタッフを合わせた収容人数で判断されるため、施設規模が固まった段階で管轄の消防署に確認しておきましょう。

参照元:ぶけなび「違反すると罰則も!飲食店の開業には資格が必要?」 / Pro-Sign「飲食店開業に必要な資格は2つ!」

グランピング開業に必要な許可・申請の全体像

資格よりも重要なのが、行政の許可・申請です。グランピング開業で関わる主な手続きを一覧で整理します。

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許可・申請必要になるケース窓口
旅館業の営業許可宿泊料を取って継続的に宿泊させる場合(原則必須)保健所
飲食店営業の許可BBQ食材や食事を提供する場合保健所
消防関連の届出施設の使用開始時、防火管理者の選任時など消防署
建築確認・開発許可など宿泊棟の構造や土地の条件による土木事務所・都市計画課
農地転用の許可・届出農地に施設を作る場合農業委員会

旅館業の営業許可|グランピング開業の中心となる手続き

グランピングは宿泊業に該当するため、旅館業の営業許可の取得が必須です。グランペディアの解説でも、テントでも旅館業の営業許可を取得することは可能で、グランピングは宿泊業に該当するため許可の取得が必須とされています。申請窓口は施設所在地を管轄する保健所で、実際に許可を出すのは都道府県知事です。

榊原行政書士事務所の解説によると、ほとんどのグランピング施設は旅館業のうち「簡易宿所営業」に該当すると考えられますが、宿泊棟の数や規模によっては旅館・ホテル営業の許可が必要になる場合もあるとされています。旅館業法は「施設内に宿泊できる場所と寝具を用意し、不特定多数の人に宣伝して、継続的に利用料金をもらって宿泊してもらう」場合に適用される法律のため、テントやトレーラーでも寝具を備えて宿泊料を取るビジネスであれば対象になります。

参照元:グランペディア「グランピング企画開発の要点と旅館業法」 / 榊原行政書士事務所「グランピング施設開業に必要な許可、手続を解説」

許可が不要になるケースもある

グランプレスの解説では、大型テントやシュラフを貸し出してレンタル料をもらい、設営は利用者自身が行う「手ぶらキャンプ」のような形態は、旅館業法の対象外になるとされています。宿泊場所と寝具を「施設側が用意して提供する」かどうかが分かれ目です。自分の事業形態がどちらに当たるかは、保健所への事前相談で確認してください。

参照元:グランプレス「グランピング施設運営には旅館業法の許可が必要」

飲食店営業の許可|BBQ食材の提供だけでも必要

グランピングの定番であるBBQや朝食を提供する場合は、旅館業とは別に飲食店営業の許可が必要です。グランプレスの解説では、バーベキュー用の食材を提供するだけでも飲食店業の許可と消防署への届出(防火対象物使用開始届)が必要とされています。

営業形態によっては食肉販売業などの許可もあわせて必要になる可能性があり、自治体によって申請・届出の運用も異なります。窓口は管轄の保健所のため、提供したい食事の形態を伝えて必要な許可を確認しましょう。なお、貯水槽や井戸水を使う場合は水質検査の実施も必要とされています。

参照元:グランプレス「キャンプ場経営に必要な許可や申請の種類は?」

土地・建物関連の手続き|宿泊棟と土地の条件で変わる

宿泊棟が建築基準法上の「建築物」に該当する場合は建築確認申請が、市街化調整区域では開発許可が、農地では農地転用の手続きが必要になります。これらは宿泊棟の構造と土地の条件によって要否が大きく変わる分野です。建築確認が不要になりやすい宿泊棟タイプの詳細は、別記事「グランピングで建築確認が不要な宿泊棟とは」で詳しく解説しているので、あわせて確認してください。

開業までの手続きの流れ(5ステップ)

資格と許可の全体像を踏まえて、開業までの手続きの流れを5つのステップに整理します。ポイントは「施設を作ってから相談する」のではなく「作る前に相談する」ことです。

STEP
保健所・自治体への事前相談

施設の計画段階で、保健所(旅館業・飲食店営業)、都市計画課や土木事務所(土地・建物関連)、消防署(消防設備)に事前相談を行います。図面が固まる前に相談することで、後からの手戻りを防げます。

STEP
必要な資格の取得

食事を提供するなら食品衛生責任者、収容人数30人以上なら防火管理者の講習を受講します。いずれも1〜2日の講習で取得できるため、施設整備と並行して進められます。

STEP
施設の整備

事前相談で確認した基準(客室の構造、換気・採光、トイレや洗面設備、消防設備など)を満たす形で宿泊棟と付帯設備を整備します。宿泊棟の構造によって建築確認の要否が変わるため、構造選びは手続き全体のスケジュールに直結します。

STEP
許可申請・届出の提出

旅館業の営業許可と飲食店営業の許可を保健所へ申請し、消防署へ必要な届出を提出します。申請から許可までの審査期間は自治体によって異なるため、開業予定日から逆算して余裕を持って申請しましょう。

STEP
許可取得・開業

許可を取得したら開業できます。営業者の変更や大規模な増改築を行う場合は新規で許可を取り直す必要があるケースもあるため、開業後の変更時も保健所へ確認してください。

参照元:ツナグ行政書士事務所「グランピング施設開業ガイド」

宿泊棟の選び方で手続きの負担は変わる

旅館業の許可や食品衛生責任者の資格はどの施設でも共通して必要ですが、建築確認などの土地・建物関連の手続きは、宿泊棟の構造次第で負担が大きく変わります。手続きの負担を抑えて開業スケジュールを短縮したい場合、工作物として扱われる構築物が選択肢になります。

インスタントハウスは、LIFULLと名古屋工業大学大学院の共同研究から生まれたドーム型の構築物で、法的に「工作物」として扱われるため建築確認申請が原則不要とされています(行政判断による)。基礎工事不要でペグやビスで固定し、設営は数時間(約6時間)で完了します。断熱材を360°に使用しているため外気温の影響を受けにくく、通年営業にも対応しやすい構造です。

本体価格に設営費が含まれているわかりやすい価格設定で、サイズを調整することも可能です。特注仕様の場合は製作期間が別途必要となります。建築確認の手続きと工期を抑えられれば、旅館業許可の申請に集中でき、開業までのスケジュール全体を短縮しやすくなります。

グランピング開業の資格・許可に関するよくある質問

グランピング開業に国家資格は必要ですか?

特別な国家資格は必要なく、未経験からでも開業できます。ただし、食事を提供する場合は食品衛生責任者、収容人数30人以上の施設では防火管理者の選任が必要です。どちらも1〜2日の講習を受講すれば取得できる資格です。

テントだけのグランピング施設でも旅館業の許可は必要ですか?

必要です。テントやトレーラーであっても、施設側が寝具を用意して宿泊料を取って継続的に宿泊させる場合は旅館業に該当し、営業許可の取得が必須です。テントでも旅館業の営業許可を取得することは可能とされています。申請窓口は管轄の保健所です。

旅館業の許可が不要になるケースはありますか?

あります。テントや寝具を貸し出してレンタル料をもらい、設営は利用者自身が行う「手ぶらキャンプ」のような形態は、旅館業法の対象外とされています。宿泊場所と寝具を施設側が用意して提供するかどうかが分かれ目です。判断に迷う場合は保健所に事前相談してください。

BBQ食材を提供するだけでも飲食店の許可は必要ですか?

必要です。バーベキュー用の食材を提供するだけでも飲食店業の許可と消防署への届出が必要とされています。あわせて施設専任の食品衛生責任者の選任も必要です。営業形態によっては食肉販売業などの許可が追加で必要になる場合もあるため、管轄の保健所に相談してください。

食品衛生責任者の資格はどうやって取得しますか?

各都道府県等が実施する養成講習会を受講すれば取得できます。講習は1日程度で、衛生法規・公衆衛生学・食品衛生学を学ぶ内容です。受講に予備知識は不要です。なお食品衛生責任者は施設専任が必要で、他施設との兼任は認められないとされています。

許可の手続きはどの順番で進めればいいですか?

施設を作る前の事前相談が最優先です。保健所・都市計画課・消防署に計画段階で相談し、基準を確認してから施設を整備し、整備後に旅館業・飲食店営業の許可申請と消防の届出を行う流れが基本です。先に施設を作ってしまうと基準を満たさず手戻りが発生するリスクがあります。

まとめ

この記事のポイント
  • グランピング開業に特別な国家資格は不要。未経験からでも開業できる
  • 食事を提供するなら食品衛生責任者、収容30人以上なら防火管理者が必要(いずれも講習で取得可能)
  • 宿泊料を取って泊める以上、旅館業の営業許可(多くは簡易宿所営業)が必須。窓口は保健所
  • BBQ食材の提供だけでも飲食店営業の許可と消防への届出が必要
  • 建築確認など土地・建物関連の手続きは宿泊棟の構造と土地条件で変わる
  • 手続きの基本は「作る前に相談」。保健所・都市計画課・消防署への事前相談から始める

グランピング開業のハードルは「資格」ではなく「許可・申請」にあります。特別な資格がなくても開業できる一方、旅館業の営業許可をはじめとする行政手続きは避けて通れません。手続きをスムーズに進めるコツは、施設を作る前の事前相談と、手続き負担の少ない宿泊棟選びの2つです。

建築確認が原則不要な工作物扱いの構築物を選べば、土地・建物関連の手続きを抑えて、旅館業許可の取得に集中できます。まずは開業予定地を管轄する保健所への事前相談から、開業準備の一歩を踏み出してみてください。



監修者

山中典(やまなか つかさ)

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO/名古屋工業大学共同研究員。インスタントハウスの開発・事業を軸に、災害支援から多様な空間活用まで幅広く展開している。

東証プライム上場LIFULLグループ|導入実績240棟以上

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