グランピングにサウナを増設|費用対効果とタイプ別の選び方

グランピング施設にサウナを増設したいけど、本当に投資に見合う効果があるの?どのタイプのサウナを選べばいい?

グランピング施設へのサウナ増設は、いま最も注目されている設備投資の一つです。サウナブームの追い風を受けて、「サウナ付き」を売りにするグランピング施設が急増しています。

ただ、サウナの増設には一定の投資が必要です。「本当に集客や客単価の改善につながるのか」「どのタイプのサウナが自施設に合っているのか」を見極めたうえで判断したいところです。

この記事では、グランピング施設にサウナを増設するメリットをデータに基づいて整理し、バレルサウナ・テントサウナ・インスタントサウナの3タイプの費用と特徴を比較。増設時の手順や法的な確認事項まで、施設事業者向けに解説します。

目次

グランピング施設にサウナを増設するメリット

サウナの増設は、グランピング施設の経営課題を複数同時に解決できる施策です。業界メディアの情報をもとに、具体的なメリットを整理します。

閑散期・冬場の集客改善

ホテル・旅館利益向上プロジェクトは「天候や季節に左右されないサウナを導入することで、閑散期でも安定した集客を期待できる」と述べています。グランピング施設は冬場に稼働率が落ち込みやすい傾向がありますが、サウナは寒い季節こそ需要が高まるコンテンツです。

参照元:ホテル・旅館利益向上プロジェクト「サウナ導入で売上向上!」

RemoteLOCKも「グランピング施設は地理的に温泉設備が付けられないことが多いので、代わりにサウナ設備を整えることで施設の快適性やオリジナリティをアピールする狙いがある」と分析しています。温泉のない施設にとって、サウナは入浴設備の代替として機能する側面もあります。

参照元:RemoteLOCK「急増中?グランピング施設×貸切サウナの体験価値について考える」

客単価アップ(20〜30%の実績データ)

ホテル・旅館利益向上プロジェクトは、サウナ導入による客単価アップについて以下の効果を報告しています。

  • サウナ付きの客室や施設では、通常の宿泊料金よりも20〜30%高い価格設定が可能
  • サウナ利用を有料オプション(1回3,000円〜5,000円)として提供することで宿泊単価を引き上げ
  • サウナ利用により滞在時間が延び、飲食など付帯サービスの利用増加にもつながる

つまりサウナの増設は、「閑散期の集客改善」と「客単価アップ」の両方に効く施策です。

競合施設との差別化

RemoteLOCKは「少人数で自然体験や非日常感を楽しみたいという客層のグランピングは、同じく少人数で自由に楽しめる貸切サウナとの親和性が高い」と述べています。特に「プライベートサウナ」「貸切サウナ」は、グランピングが持つ「プライベート空間での非日常体験」というコンセプトと相性が良く、競合施設との差別化要素になります。

秀建も「サウナの導入で差別化が図れる」「新規顧客の開拓やリピーターの獲得など集客力アップが期待でき、売上の向上にもつながる」としています。

参照元:秀建「サウナの導入で集客力アップ!メリットと流れを解説」

サウナは「攻め」と「守り」を同時に実現できる設備投資

閑散期の稼働率を「守り」、客単価アップと差別化で売上を「攻める」。サウナはグランピング施設にとって、数少ない「攻守両方に効く」設備投資です。

サウナのタイプ別 増設コストと特徴

グランピング施設に増設できるサウナには、主にバレルサウナ、テントサウナ、インスタントサウナの3タイプがあります。それぞれの費用と特徴を比較します。

バレルサウナ

バレルサウナは、樽型の木製サウナです。見た目のインパクトがあり、多くのグランピング施設で採用されています。totonoüの事業用Pro Modelの場合、本体価格は2.2m=1,450,000円、3.0m=1,700,000円、4.0m=1,850,000円です(いずれも施工費別)。

施工費はtotonoü公式によると2.2mで200,000円〜、3.0mで300,000円〜。電気ストーブ設置費150,000円〜、薪ストーブ設置費70,000円〜が別途かかります。

参照元:totonoü公式 バレルサウナ製品一覧

木材のみで構成されているため断熱材が入っておらず、外気温の影響を受けやすい点がデメリットです。薪ストーブを選択した場合は、薪の調達・保管・火の管理が継続的に必要になります。

テントサウナ

テントサウナは、専用テント内に薪ストーブを設置するタイプです。サウナパラダイスによると、購入費用は低価格帯で5万〜7万円、中価格帯で7万〜15万円、高価格帯で15万〜25万円とされています。

参照元:サウナパラダイス「テントサウナのおすすめは?」

導入コストは最も安いものの、テント素材の耐久性が低く長期使用に向きません。外気温の影響を受けやすく、薪ストーブの火の管理も必要です。RemoteLOCKは、SANA MANE(直島)がテントサウナで2年間運営した後、サウナ利用者からの反響を受けて本格的なサウナ建設に踏み切った事例を紹介しています。テントサウナは「試験導入」としては有効ですが、本格運用には別のタイプへの移行を検討する必要があるでしょう。

インスタントサウナ

インスタントサウナは、LIFULL ArchiTechが2026年1月に販売を開始した新しいタイプの屋外サウナです。インスタントハウスの技術を活用し、テントシートを空気で膨らませて内側から硬質発泡ウレタンを吹き付けて施工するドーム型の構造になっています。

主な特徴は以下のとおりです。

  • 構造体自体が断熱材(硬質発泡ウレタン)で、外気の影響を最小限に抑えられる
  • 円形の形状が熱の循環効率と対流効率を高め、短時間で室内を温められる
  • 100V電源で利用可能な家庭用サウナストーブで十分な温熱環境を実現(電気工事不要)
  • 建築物ではないため設置場所の制約が少ない

参照元:LIFULL「LIFULL ArchiTech、断熱性能と熱効率に優れた『インスタントサウナ』を販売開始」

バレルサウナと比較した場合、「電気工事不要」「薪の火の管理不要」「構造体自体が断熱材」という3点が運用面での大きな違いです。

タイプ別比較表

スクロールできます
比較項目バレルサウナ(totonoü)テントサウナインスタントサウナ
本体価格145万〜185万円5万〜25万円要問い合わせ
施工費20万〜30万円+ストーブ設置費ほぼ不要(自力設営)要問い合わせ
断熱性木材のみ(断熱材なし)テント素材のみ(断熱性低い)構造体自体が断熱材
熱源薪または電気ストーブ(200V工事が必要な場合あり)薪ストーブ100V電気サウナストーブ(電気工事不要)
火の管理薪ストーブ選択時は必要必要不要
長期運用耐用年数20年以上(totonoü公式)テント素材の劣化が早い要問い合わせ

サウナ増設の手順と確認事項

サウナの増設は設備の購入・設置だけでなく、設置場所の動線設計や法的な確認事項への対応も必要です。スムーズに増設を進めるための手順を整理します。

設置場所・動線の設計

サウナの設置場所は、「サウナ→水風呂→外気浴」という一連の動線を意識して設計する必要があります。秀建は「水風呂から外気浴という行動を速やかに行うことでより整えると言われているため、移動を考えて設置するのがポイント」と述べています。

参照元:秀建「サウナ開業に必要な営業許可」

グランピング施設の場合、宿泊棟から近すぎると騒音が気になり、遠すぎると利用率が下がります。共用サウナとして設置するか、各棟のプライベートサウナとして設置するかによっても最適な配置は異なるため、施設全体のレイアウトを見直した上で設置場所を決定しましょう。

法的な確認事項(公衆浴場法・消防法)

サウナを増設する際に必ず確認すべきなのが、公衆浴場法と消防法への対応です。

公衆浴場法について

厚生労働省の公衆浴場法概要によると、「旅館業法の適用を受ける宿泊施設の浴場」は公衆浴場法の適用外とされています。

参照元:厚生労働省「公衆浴場法概要」

ツナグ行政書士事務所も「グランピング施設として簡易宿所営業又は旅館・ホテル営業の許可をすでに取得している場合において、その敷地内で宿泊者のみを利用させるサウナを設営しようとするときは公衆浴場営業許可は不要」と解説しています。

参照元:ツナグ行政書士事務所「テントサウナ開業に関する営業許可とその取得方法について」

ただし、宿泊者以外(日帰り利用者など)にもサウナを提供する場合は、公衆浴場営業許可が必要になります。また、自治体によって判断が異なるケースもあるため、増設前に必ず管轄の保健所に事前相談を行ってください。

消防法について

サウナは高温になる設備のため、消防法上の対応も必要です。特に薪ストーブを使用する場合は「火気使用設備」に該当し、管轄の消防署への届出が必要になります。電気ストーブの場合も、消防署への事前相談は行っておきましょう。

「宿泊者専用」なら公衆浴場法の許可が不要になるケースが多い

すでに旅館業(簡易宿所営業)の許可を取得しているグランピング施設であれば、敷地内で宿泊者のみに利用させるサウナは公衆浴場営業許可が不要になるのが一般的です。ただし自治体によって見解が異なるため、保健所への事前相談は必ず行ってください。

水風呂・外気浴スペースの整備

サウナ体験の満足度を高めるには、サウナ本体だけでなく水風呂と外気浴スペースの整備も欠かせません。秀建は「サウナ利用者にとって水風呂は欠かせない」「外気浴スペースも必要不可欠」としています。

水風呂はポータブルタイプの水風呂(チラー付き)を導入する方法が、グランピング施設では手軽です。外気浴スペースについては、グランピング施設の場合はもともと自然に囲まれた環境にあるため、ととのい椅子を配置するだけで質の高い外気浴が実現できます。これはグランピング施設ならではの強みです。

グランピング施設のサウナ増設でよくある質問

サウナを増設すると客単価はどのくらい上がりますか?

ホテル・旅館利益向上プロジェクトによると、サウナ付きの客室や施設では通常の宿泊料金よりも20〜30%高い価格設定が可能です。サウナ利用を有料オプション(1回3,000円〜5,000円)として提供する方法もあります。

サウナの増設に公衆浴場法の許可は必要ですか?

厚生労働省の公衆浴場法概要によると、旅館業法の適用を受ける宿泊施設の浴場は公衆浴場法の適用外とされています。グランピング施設として旅館業の許可を取得済みで、宿泊者のみが利用するサウナであれば、公衆浴場営業許可は不要になるのが一般的です。ただし自治体によって見解が異なるため、保健所への事前相談は必ず行ってください。

バレルサウナとインスタントサウナの違いは何ですか?

バレルサウナは木材のみで構成された樽型サウナで、断熱材が入っていないため外気温の影響を受けやすい構造です。インスタントサウナは構造体自体が断熱材(硬質発泡ウレタン)で、100V電源で運用可能なため電気工事が不要。薪の火の管理も不要です。運用面での手間と断熱性能に大きな違いがあります。

テントサウナで本格運用はできますか?

テントサウナは導入コスト5万〜25万円と安価ですが、テント素材の耐久性や薪ストーブの火の管理を考えると、通年の本格運用には向きません。RemoteLOCKが紹介したSANA MANE(直島)の事例では、テントサウナで2年間運営した後、利用者からの反響を受けて本格サウナの建設に移行しています。需要を確認する試験導入としては有効です。

サウナの増設で消防署への届出は必要ですか?

サウナは高温設備のため、消防法上の対応が必要です。特に薪ストーブは「火気使用設備」に該当し、管轄の消防署への届出が必要になります。電気ストーブの場合も、事前に消防署へ相談しておくのが安全です。

まとめ

グランピング施設のサウナ増設ポイント
  • サウナ増設は「閑散期の集客改善」「客単価20〜30%アップ」「競合との差別化」の3つのメリットがある
  • バレルサウナは本体145万〜185万円+施工費。デザイン性と耐用年数が強みだが、断熱材がなく薪の管理が必要なケースも
  • テントサウナは5万〜25万円と安価だが、本格運用には向かない。需要確認の試験導入に適している
  • インスタントサウナは構造体自体が断熱材で、100V電源で運用可能。電気工事不要・火の管理不要で施設運営の負担を軽減
  • 旅館業の許可を取得済みで宿泊者のみが利用するサウナは、公衆浴場営業許可が不要になるのが一般的(保健所への事前相談は必須)

グランピング施設へのサウナ増設は、閑散期の集客と客単価の両方を改善できる、費用対効果の高い設備投資です。どのタイプのサウナを選ぶかは、施設の立地条件、運営体制、予算によって異なりますが、「運用の手間がどれだけ少ないか」も重要な判断基準です。

電気工事不要・火の管理不要で運用できるインスタントサウナは、スタッフの負担を最小限に抑えたい施設にとって有力な選択肢です。詳細は以下からご確認ください。

監修者

山中典(やまなか つかさ)

株式会社LIFULL ArchiTech 取締役COO/名古屋工業大学共同研究員。インスタントハウスの開発・事業を軸に、災害支援から多様な空間活用まで幅広く展開している。

東証プライム上場LIFULLグループ|導入実績240棟以上

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